真大道教(読み)しんだいどうきょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「真大道教」の意味・わかりやすい解説

真大道教
しんだいどうきょう

新道教一派州(そうしゅう)(中国山東省楽陵県)の劉徳仁(りゅうとくじん)(1122―80)が金代の1142年(皇統2)に『道徳経』の要旨を会得し、これに基づいて布教に入った。その教説は清浄無為(しょうじょうむい)の所説を本旨とし、仏教戒律儒教の道徳など、儒仏道三教にわたる9か条の教誡(きょうかい)を掲げ、禁欲的な自給自足相互扶助の生活を説いている。この教派は元朝から正一(しょういつ)教、全真(ぜんしん)教と並ぶ優遇を受け、社会的地位を確立したが、教線を江南に拡張するに及んで、嗣承をめぐる内紛が続き、明(みん)朝の出現をまたず滅び去った。

[秋月観暎]

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改訂新版 世界大百科事典 「真大道教」の意味・わかりやすい解説

真大道教 (しんだいどうきょう)
Zhēn dà dào jiào

中国,道教宗派の一つ。金代の初め,道士劉徳仁によって開宗され,大道教と称した。その立教の精神は,君に忠,親に孝,人に対して誠であれ,邪淫勢利を避け,清静を守り貧賤に安んじよ,賭博や盗みを犯すな,葷(くん)酒を飲食せず,虚心であって足ることを知れなどという9ヵ条からなる儒仏道の三教を混合した平易な日常的道徳の実践として示され,たちまち大衆の間に広がり,元代の第5祖酈希成(れききせい)の時,憲宗信任を得て,真大道教と名のることを許された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「真大道教」の意味・わかりやすい解説

真大道教
しんだいどうきょう
Zhen-da dao-jiao

12世紀前半,中国,金代に華北地方で劉徳仁 (1123~80) が興した道教の一派。儒仏道の三教帰一思想を中心に,従来の道教のもつ呪術性を排し,時代に適した実践道徳を強調した。元代に最も盛んとなったが,教団の内紛のため 14世紀前半頃に消滅した。

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