せつ‐ぶん【節分】
[1] (季節の分かれ目の意)
① 季節の変わり目。四季それぞれの季節の分かれる日。立春、立夏、立秋、立冬の前日をさす。せちぶ。せちぶん。
※
御堂関白記‐寛弘九年(1012)一二月一三日「公家荷前今日也、依
二節分
一早也」
※栄花(1028‐92頃)峰の月「秋の節分にいと疾く入りぬべければとて、七月三日内に帰らせ給」
② 特に立春の前日。四季のうち、冬から春になる時を一年の境と考えた時期があり、
大晦日(おおみそか)と
同類の年越行事が行なわれる。近代はこの夜、
ヒイラギの枝に
イワシの頭を刺したものを戸口にはさみ、節分豆と称して、煎った大豆をまいて、
厄払いの行事を行なう。せちぶ。せちぶん。《季・冬》
※和泉式部集(11C中)上「節分のつとめて けふよりは蘆間の水やゆるからんたるの
たちどの氷薄れて」
※浮世草子・
世間胸算用(1692)四「年々節分
(セツフン)の鬼が取て帰るもので御座ろ」
[2] 狂言。各流。節分の夜、蓬莱島
(ほうらいじま)の鬼が来て
留守居の女を口説く。女はなびくと見せかけ、
隠れ蓑、
隠れ笠、
打出の
小槌などをもらうと、豆をまいて鬼を追い出す。
せち‐ぶん【節分】
〘名〙
① 季節の移り変わる時。立春・立夏・立秋・立冬の前日の称。せつぶん。
※枕(10C終)
二五「方たがへにいきたるに、あるじせぬ所。まいてせちぶんなどはいとすさまじ」
※源氏(1001‐14頃)
宿木「四月ついたちごろ、せちぶんとか言ふ事、まだしき先に、わたしたてまつり給ふ」
② 特に、立春の前日の称。せつぶん。《季・冬》
※俳諧・誹諧之連歌(飛梅千句)(1540)第一「雪にせがきはいましばしまて せちふんや寺にもものをいはふらん」
せち‐ぶ【節分】
※源氏(1001‐14頃)東屋「おのづからおぼすやうあらん。後めたうな思ひ給ひそ。
九月は、明日こそせちぶと聞きしか」
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デジタル大辞泉
「節分」の意味・読み・例文・類語
せつ‐ぶん【節分】
1 季節の変わり目。立春・立夏・立秋・立冬の前日。せちぶん。
2 特に、立春の前日。2月3日ごろ。この夜、鬼打ち豆をまいたり、柊の枝に鰯の頭をさしたものを戸口にはさんだりして、邪気を払う習慣がある。《季 冬》「―や家ぬちかがやく夜半の月/秋桜子」
[補説]狂言の曲名別項。→節分
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節分 (せつぶん)
雑節の一つで,立春の前日。現行暦では2月3日もしくは4日にあたる。大晦日,1月6日,1月14日とともに年越しの日とされ,これらとの混交もみられるが,現在の節分行事はほぼ全国的に,いり豆をまく追儺(ついな)の行事と門口にヤキカガシ(ヤイカガシ)を掲げる風習を行う点で共通している。社寺でも民間でも盛んに行われる豆まきの唱え言は土地によって各種あるが,〈鬼は外,福は内〉というのが一般で,訪れる邪鬼をはらおうとするものと解されている。豆で身体を撫でて捨てる風もあり,これは災厄の祓と考えられよう。ヤキカガシとは,焼いた鰯の頭など臭気の強いものを豆の枝や鋭い葉をもつ柊(ひいらぎ)にさして家々の入口に掲げるもので,鬼の目突き,鬼おどしなどと呼ばれ,これも邪霊防御の手段とされている。また豆占いや,ヤキカガシを焼くときの虫の口封じの唱え言もかつては広く行われていた。以上のように節分には追儺の考えが濃いが,別にこの夜に神霊の訪れを認めて,本来ヤキカガシ掲示はそのための物忌(ものいみ)をしているしるしであり,豆は神への供え物とする解釈もある。
→追儺
執筆者:田中 宣一
節分 (せつぶん)
狂言の曲名。鬼狂言。大蔵・和泉両流にある。節分の夜,夫が出雲大社へ年取りに出かけたので女がひとりで留守をしているところへ,蓬萊の島から来た鬼が訪れる。美しい人妻に心を奪われた鬼は,小歌をうたいつつ言い寄るが,女はいっこうに受けつけないので,ついに泣き出してしまう。その様子を見た女は,なびくと見せかけて,鬼の持つ隠れ笠,隠れ蓑,打出の小槌などの宝を取り上げ,家の中に入れる。鬼は横になり,くたびれたから腰をたたいてくれなどと亭主気取りもつかのま,女は,やっと豆をはやす時分になったと〈福は内,鬼は外〉と豆をぶつけて鬼を追い出す。登場人物は鬼と女の2人で,鬼がシテ。鬼が恋のとりことなり,人間の女にだまされるという倒錯的ユーモアと,《閑吟集》その他の中・近世歌謡と重複する小歌が演技の中心。民俗信仰を背景に適度のエロティシズムも加味された,こくのある古作の狂言である。
執筆者:羽田 昶
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節分
せつぶん
元来,季節の移り変るときをさし,立春,立夏,立秋,立冬のそれぞれ前日であった。しかし太陰太陽暦では立春を年の初めと定めたので,立春の前日すなわち大寒の最後の日を特に節分 (太陽暦の2月3日か4日) として重視した。したがって節分は太陰暦の大晦日 (おおみそか) にあたり,その夜を年越しといって民間ではひいらぎ (柊) の枝にいわしの頭をつけて門戸にかざし,また日暮れに豆まきをして追儺 (ついな。厄払い) を行う習慣がある。
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節分【せつぶん】
立春の前日。雑節の一つで,新暦では2月3,4日ころ。古くは1日が夜から始まり,立春から新年が始まると考えられたため,節分は年頭の行事として重んじられた。現在も邪気を払い幸いを願う習俗が伝わり,社寺では節分祭や追儺(ついな),家庭でも豆まきが行われる。また戸口に焼いたイワシの頭とヒイラギの小枝をさすところもあり,悪鬼の侵入を防ぐためといわれる。
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節分
立春の前日を節分といって、豆まきの行事が行われるが、これは本来、追儺(ついな)と呼ばれる宮中行事。追儺はまた鬼やらいともいい、疫鬼(えきき)・悪鬼を追い払う行事。古い時代は宮中でのみ行われていたが、江戸時代になると宮中では廃止になり、逆に庶民の間に広がった。節分の豆まきのことばは、「福は内、鬼は外」であるが、仏教寺院では「福は内、鬼も内」と唱える所もある。鬼を集めて、お経の力で改心させるためだという。
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節分
季節の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日のこと。特に、立春の節入り(2月3日前後の旧暦の正月)のことを指す場合が多い。節分当日の夕暮れに、柊の枝に鰯の頭を刺したものを戸口に立てておいたり、豆撒きをすることで「邪気」を払う習慣がある。
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節分
「節分」は「せち分かれ」とも言い、本来季節の変わり目、すなわち立春・立夏・立秋・立冬の前日を指す言葉です。特に現在は立春の前日(2月3日)を「節分」と言い、豆をまいて悪疫退散や招福の行事が行われます。
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普及版 字通
「節分」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典(旧版)内の節分の言及
【追儺】より
…方相氏の扮装が異様なため,のちには方相氏が鬼で,群臣が追い出すのだと考えられた。宮廷行事としては中世に廃れたが,近世になり諸国の神社で[節分]に追儺祭が行われるようになった。【伊藤 唯真】
[中国]
儺(だ),大儺とも呼ぶ。…
※「節分」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」