日本大百科全書(ニッポニカ) 「矢木沢ダム」の意味・わかりやすい解説
矢木沢ダム
やぎさわだむ
群馬県利根郡(とねぐん)にある、利根川本流のもっとも奥地のダムで、矢木沢川との合流点の北にある。JR上越線水上(みなかみ)駅から約32キロメートル、標高856メートル。付近はブナの原始林地帯である。利根川総合開発事業の一環として、水資源開発公団(現、水資源機構)が8年4か月の歳月をかけて1967年(昭和42)完成、洪水調節、灌漑(かんがい)、発電、上水供給を目的とする多目的ダムである。ダムの形式はコンクリートアーチ式で、規模は長さ352メートル、高さ131メートル。アーチ式では日本有数の規模。これによって利根川本流および支流奈良沢(ならさわ)の谷をV字型に水没して、周囲42.5キロメートル、面積5.67平方キロメートル、貯水量2億0300万立方メートルの巨大な奥利根湖ができた。灌漑では赤城(あかぎ)・榛名(はるな)両火山裾野(すその)の群馬用水、発電では東京電力が建設した最大出力24万キロワットの矢木沢発電所、上水供給ではおもに東京都へ送水する。このダムの建設で利根川最上流地域の様相が一変した。
[村木定雄]