知識獲得(読み)ちしきかくとく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

知識獲得
ちしきかくとく
knowledge acquisition

エキスパートシステムにおいて,教科書や人間の頭の中などにある知識を引き出し,知識ベースに格納することをいう。エキスパートシステムの問題解決能力は,それがもつ知識の量および質に左右されることから,知識獲得はエキスパートシステムの構築において最も重要な問題である。しかし,現実には対象領域の知識,特に経験的な知識は必ずしもきちんと整理されておらず,また時間とともに変化していく場合も多いことから,その獲得は非常に困難である。かつて,知識獲得の作業は対象領域の専門家とエキスパートシステム構築に関する知識技術者との協同作業で行なわれ,専門家へのインタビューなどにより知識を抽出,整理してきた。今日では,コンピュータの性能の向上やセンサ類の進化をうけ,膨大な収集可能データから,コンピュータ自身が知識を獲得する機械学習が行なわれている。たとえば,将棋ソフトウェアでは,プロ棋士が実際に対戦した膨大な棋譜を読み込むことで中盤において盤面の形勢を優勢な方向へと導く思考を発展させ,本来のコンピュータが得意とする終盤の詰将棋と組み合わせ,プロ棋士にうちかつシステムを確立させた。2011年にアメリカ合衆国のクイズ番組で人間のクイズ王に勝利した IBM人工知能システム「ワトソン」Watsonなどは,こうした機械学習による知識獲得を最大限にいかしたものである。(→知識工学

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世界大百科事典内の知識獲得の言及

【学習】より

…これに対して,情報処理的アプローチをとる認知心理学では,情報の入力から出力までの過程全体のモデル化をコンピューターメタファーを積極的に利用することによって進めていった。認知主義の立場では,学習とは個体の知識獲得と知識獲得による個体の内的システムの変化,そしてそれによる個体のパフォーマンスの改善として取り扱われる。これは広くは知識の構成主義にくみする立場であり,内的な記号処理,すなわち表象の計算過程のモデル化である。…

※「知識獲得」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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