日本大百科全書(ニッポニカ) 「砂糖摂取量指針」の意味・わかりやすい解説
砂糖摂取量指針
さとうせっしゅりょうししん
世界保健機関(WHO)が2014年に新たに発表した、糖分の1日摂取量の目標とすべき上限に関するガイドライン案。これまでWHOは2002年に、砂糖の摂取がむし歯や肥満を引き起こし、さらには生活習慣病の原因になると指摘して、成人が1日に食物から摂取する総エネルギー量に占める砂糖ほか糖類の割合を10%未満にとどめるよう提案していた。新しいガイドライン案では、この推奨基準を5%未満とするよう提案している。この新しい基準に従えば、1日に平均的な成人が摂取できる糖分は25グラムで、これは砂糖であればティースプーンでおよそ6杯分に相当する。糖分は多くの加工食品に含まれている。たとえばスプーン1杯のケチャップにはおよそ4グラム、炭酸飲料1缶にはおよそ40グラムが含まれ、これだけで基準を超えることになる。また、農林水産省のデータによると、日本人が1日に摂取する砂糖は平均でおよそ50グラムとされている。
新ガイドライン案が提案された背景には、成人や小児のむし歯の増加や、高血圧、糖尿病など生活習慣病の原因になる肥満の増加が深刻化していることがある。また、経済成長をとげつつある発展途上国の食生活の変化に事前に警鐘を鳴らす意味も含まれている。WHOはパブリックコメントを募集し、その意見も参考にしてガイドラインを正式決定する。
[編集部]