研出蒔絵(読み)とぎだしまきえ

精選版 日本国語大辞典 「研出蒔絵」の意味・読み・例文・類語

とぎだし‐まきえ‥まきヱ【研出蒔絵】

  1. 〘 名詞 〙 蒔絵の基本的技法の一つ絵漆文様を描き、金属粉や色粉を蒔(ま)きつけ、一たん乾燥させてからさらに漆を塗り、木炭で研ぎ、みがいて仕上げる。平安時代金銀の研出蒔絵が盛んになり、精巧な蒔絵法として発達した。とぎだし。
    1. [初出の実例]「とぎ出しまきゑの長柄の傘」(出典:浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)上)

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百科事典マイペディア 「研出蒔絵」の意味・わかりやすい解説

研出蒔絵【とぎだしまきえ】

高蒔絵平蒔絵と並んで蒔絵の基本的技法の一つ。絵漆で絵を描いた上に金銀粉をまき,乾燥後透漆または黒漆を塗り,木炭でといで模様を出す。平安時代に技術完成
→関連項目古満家三十帖冊子山本春正

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「研出蒔絵」の意味・わかりやすい解説

研出蒔絵
とぎだしまきえ

蒔絵技法の一種器物に蒔絵を施した上に,透明漆か黒漆あるいは彩漆 (いろうるし) を塗り,乾燥後木炭で蒔絵面までとぎ出し,さらに摺漆 (すりうるし) を塗って油と砥粉 (とのこ) などで磨いたもの。蒔絵面が平滑で堅固になる。平安時代から盛んに行われている。

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世界大百科事典(旧版)内の研出蒔絵の言及

【蒔絵】より

…粉の種類には丸粉,半丸粉,平目粉(刑部(ぎようぶ)平目),梨地(なしじ)粉,平粉,消粉などがある。おのおの粗細があり,丸粉でみると1号(細)から15号(粗)まであり,おもに3号以下は平蒔絵に,8号以上は研出(とぎだし)蒔絵に用いられる。丸粉の祖形は古代粉(やすり(鑢)粉)で,12世紀まではこの一種のみが研出蒔絵に用いられたが,12世紀末から平蒔絵用の細粉や平目粉が現れる。…

※「研出蒔絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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