破廉恥な動機により犯される犯罪。殺人、強窃盗、放火などの罪が一般にこれにあたる。破廉恥な動機とは、道徳的または倫理的に非難されるべき動機をいうものと解されている。これに対して、非破廉恥的な動機による場合を「非破廉恥罪」という。日本の刑法は両者の区別を明確にはしていないが、刑罰の面から自由刑を懲役刑と禁錮刑とに区別しているところから、両者の区別を前提としているものと解されている。すなわち、内乱罪(刑法77条~79条)、業務上失火・重過失失火罪(同法117条の2)などが懲役刑ではなく禁錮刑を法定し、また、それ以外の罪にも禁錮刑を選択刑として法定している場合には、このような非破廉恥罪と破廉恥罪との区別があるものと解されうる。しかし、両者の区別は不明確であるばかりでなく、この区別を前提として自由刑を二元化することには反対も多い。
[名和鐵郎]
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