硫酸ミスト(読み)りゅうさんミスト(英語表記)sulfuric acid mist

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硫酸ミスト」の意味・わかりやすい解説

硫酸ミスト
りゅうさんミスト
sulfuric acid mist

大気中に浮遊する硫酸 H2SO4ミスト。粒径1~10μm程度で,3μm以下が多いとされる。大気中の亜硫酸ガス SO2 が,紫外線により光化学的合成を起して無水硫酸 SO3 となり,水蒸気と結合する場合,あるいは SO2水滴に吸収されて生成する場合がある。硫酸ミストは大気の湿度が高いときに生成されやすく,生体に対しては亜硫酸ガスよりはるかに影響が強い。人の肺に容易に侵入して,気管支肺胞を刺激し,毒性が高いと警戒されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「硫酸ミスト」の意味・わかりやすい解説

硫酸ミスト
りゅうさんみすと
sulfuric acid mist

硫酸が霧状になって大気中に拡散したもので、大気汚染物質の一つ。工場からの排煙に含まれる二酸化硫黄(いおう)などが酸化され、水分を吸収して生じ、また硫酸製造、金属表面処理、蓄電池製造、肥料製造、めっきその他など各種の製造過程あるいはディーゼルエンジン排気ガスで発生し、微細な粉塵(ふんじん)粒子の表面に吸着され、大気中に浮遊して霧状になったものである。光化学スモッグの原因物質で、目やのどを刺激し、吸入すると呼吸器粘膜の炎症カタル肺炎などをおこす。0.5ppmで刺激を感じ、10ppmで耐えにくい。また酸性雨の原因の一つとなっている。

[中原勝儼]

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