一群のタンパク質の分類上の総称。水,塩溶液,有機溶媒,弱酸,弱アルカリなどのほとんどの溶媒に溶けない繊維状タンパク質。一般にタンパク質分解酵素にも作用されにくく,分子の分解を伴わないような温和な条件で溶解させることは困難。明確な生理的作用をもたない。動物の骨格構造を構築している主要な構成成分であり,また生体を保護する役割を果たしているタンパク質でもある。植物界では,硬タンパク質の代りにセルロース類が,同じ役割をしているものと考えられている。
例としては骨,皮,腱などに含まれているコラーゲン,靱帯や動脈などの成分であるエラスチン,毛髪,羽毛などのケラチン,絹のフィブロイン,カイメンのスポンジ(海綿質)などが知られている。不溶性の原因はコラーゲンの場合には年齢とともに生ずる分子間の橋かけ結合であり,エラスチンの場合には分子内の橋かけ結合によるものと考えられている。
執筆者:宝谷 紘一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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