硬蛋白質(読み)コウタンパクシツ(その他表記)scleroprotein

デジタル大辞泉 「硬蛋白質」の意味・読み・例文・類語

こう‐たんぱくしつ〔カウ‐〕【硬×蛋白質】

水・塩類水溶液に溶けにくく、酸・アルカリ酵素などによっても分解されにくいたんぱく質動物の骨などに含まれるコラーゲン、爪などにあるケラチン、絹のフィブロインの類。

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精選版 日本国語大辞典 「硬蛋白質」の意味・読み・例文・類語

こう‐たんぱくしつカウ‥【硬蛋白質】

  1. 〘 名詞 〙 水、塩類の水溶液に溶けにくく、酸、アルカリ、酵素などによって分解されにくい単純たんぱく質の総称。硬い組織に含まれ保護的な働きをする。骨、皮などに含まれるコラーゲン、毛髪羽毛、爪などにあるケラチンが代表的。アルブミノイド

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改訂新版 世界大百科事典 「硬蛋白質」の意味・わかりやすい解説

硬タンパク質 (こうたんぱくしつ)
scleroprotein

一群のタンパク質の分類上の総称。水,塩溶液,有機溶媒,弱酸,弱アルカリなどのほとんどの溶媒に溶けない繊維状タンパク質。一般にタンパク質分解酵素にも作用されにくく,分子の分解を伴わないような温和な条件で溶解させることは困難。明確な生理的作用をもたない。動物の骨格構造を構築している主要な構成成分であり,また生体を保護する役割を果たしているタンパク質でもある。植物界では,硬タンパク質の代りにセルロース類が,同じ役割をしているものと考えられている。

 例としては骨,皮,腱などに含まれているコラーゲン靱帯動脈などの成分であるエラスチン,毛髪,羽毛などのケラチン,絹のフィブロインカイメンスポンジ海綿質)などが知られている。不溶性の原因はコラーゲンの場合には年齢とともに生ずる分子間の橋かけ結合であり,エラスチンの場合には分子内の橋かけ結合によるものと考えられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硬蛋白質」の意味・わかりやすい解説

硬蛋白質
こうたんぱくしつ
scleroprotein

水,塩類水溶液,有機溶液,弱酸,弱アルカリなどに溶けない単純蛋白質の一群の総称。骨,皮,腱,筋膜,軟骨などに含まれるコラーゲン,動脈などのエラスチン,毛,角,爪,蹄などのケラチン,絹糸中のフィブロイン,海綿のスポンジなど。コラーゲンは多量のグリシンとプロリンおよびハイドロキシプロリンを含み,フィブロインにはグリシンとアラニンが多く,エラスチンはリジンが重合したデスモジンを含むなど,しばしば独特のアミノ酸組成その他の特徴を示す。

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