日本大百科全書(ニッポニカ) 「磐梯式噴火」の意味・わかりやすい解説
磐梯式噴火
ばんだいしきふんか
福島県磐梯山の1888年(明治21)7月15日の水蒸気爆発を典型とする特殊な噴火形式。長い休眠で火道が閉じられていた火山で、おもに地下水が熱せられて生じた水蒸気により、山体を破壊して既存の岩石土砂を噴出し、マグマから直接由来した新溶岩は出さない。この磐梯山の噴火は1082年ぶりで、数日前から弱い地震が感じられ、数十分前から鳴動や強震が連続しただけで、突発し、かつ、わずか2時間内に約20回激烈な爆発を反復して、終息した。山体北部の小磐梯山が崩壊し、岩屑(がんせつ)流で惨害(死者461人)を出した。また、この種の爆発によるものとしては例外的に大きい、直径2キロメートルものカルデラを生じた。
[諏訪 彰]