磐船(読み)いわふね

精選版 日本国語大辞典 「磐船」の意味・読み・例文・類語

いわ‐ふねいは‥【磐船・岩船】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「いわぶね」とも )
    1. 岩のようにがんじょうな船の意で、天空に浮かんで走り、神の乗り物とする想像上の船。天(あま)の磐船。
      1. [初出の実例]「ひさかたの天の探女(さぐめ)石船の泊(は)てし高津は浅(あせ)にけるかも」(出典:万葉集(8C後)三・二九二)
    2. 石棺(せっかん)をいう。
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 新潟県村上市の地名。羽州(出羽)街道の宿駅、松前航路の寄港地として発展。岩船神社がある。大化四年(六四八)に蝦夷(えぞ)に備えて置かれた明神山の磐舟柵(いわふねのき)上代の砦(とりで)の遺跡。
    2. [ 二 ] 新潟県北端の郡。村上市をはさんで荒川・三面(みおもて)川流域にあり、朝日山地によって山形県と接する。
    3. [ 三 ] 謡曲。脇能物。各流。作者不詳。勅命を受けた臣下が高麗唐土の宝を買うために摂津国住吉浦を訪れ、龍神からみつぎ物を受ける。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「磐船」の意味・わかりやすい解説

磐船
いわふね

大阪府北東部、交野市(かたのし)の天野川(あまのがわ)上流にある渓谷。船の形をした巨岩を神体とする磐船神社があり、岩場の洞穴くぐりはスリルがある。大坂城築城のとき、加藤清正はこの石を石垣にしようとしたが、動かせなかったという話が伝えられている。生駒(いこま)山地東側の生駒谷を南北に通じる磐船街道は、大坂、京都、奈良に近いという地理的な位置から、大和(やまと)、河内(かわち)の古代文化発祥地を結ぶ路であった。

安井 司]

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