移調楽器(読み)イチョウガッキ

デジタル大辞泉 「移調楽器」の意味・読み・例文・類語

いちょう‐がっき〔イテウガクキ〕【移調楽器】

楽譜に記された音と実際に出す音の高さが異なる楽器クラリネットホルントランペットなど、管楽器に多い。

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精選版 日本国語大辞典 「移調楽器」の意味・読み・例文・類語

いちょう‐がっきイテウガクキ【移調楽器】

  1. 〘 名詞 〙 楽譜に記載された音と実際の音とが異なる楽器。トランペット、サキソフォン、クラリネットなど管楽器に多い。

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改訂新版 世界大百科事典 「移調楽器」の意味・わかりやすい解説

移調楽器 (いちょうがっき)

実音と違う高さに移調して書いた楽譜を,正規のものとして常用する楽器の総称。その楽器にとっての基本の調が,楽譜上ではハ調になるように移調する。楽器自体というより,むしろ演奏の便から出た楽譜の書き方の問題である。たとえば木管楽器のイングリッシュ・ホルンコーラングレ)の基調ヘ調であるが,5度高く移調し,ヘ音が鳴るべきところをハ音として書く。これによって音符の見かけ上の高さと実際の奏法の対応関係が,同族楽器オーボエと一致し,両楽器を1人で担当するのが楽になる。クラリネットには変ロ,イ,変ホ等さまざまな基調のものがあるが,基準の音を楽譜上のハ音に据えて移調する。記譜音と実音の対応が多少複雑ではあるが,記譜と奏法の関係が一定するので,奏者の利益は大きい。金管楽器は総体に移調楽器が優勢で,今日その多くは変ロその他変種調を基調とするが,トロンボーン,ユーフォニアム,チューバ等の低音楽器は実音通りの譜を用いることが多い。金管のパート譜に,古くは多様な基調の指定が見られたが,楽器全体をではなく,途中の部分の替管を挿し変えて指定に合わせた。金管の古典的な移調法では,第4倍音(基音の2オクターブ上)を高音部記号での1点ハに据えたが,現在は弁不使用時の第2倍音を1点ハとする。ピッコロをオクターブ低く,コントラバスをオクターブ高く書いて譜を読みやすくするのを,広義での移調と見ることもできる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「移調楽器」の意味・わかりやすい解説

移調楽器
いちょうがっき
transposing musical instruments

実音とは別の調で記譜される楽器。バルブキーが発明される以前の管楽器では,その基調が最も演奏しやすかったために,この記譜上の習慣が起った。たとえばイ調クラリネットでは,イ長調がハ長調で記譜される。ただし,現代の作曲家は実音で記譜する場合が多い。

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