イングリッシュホルン(その他表記)English horn

翻訳|English horn

デジタル大辞泉 「イングリッシュホルン」の意味・読み・例文・類語

イングリッシュ‐ホルン(English horn)

木管楽器の一。オーボエよりやや大型の複簧ふくこうダブルリード)の縦笛で、音域も5度低い。コールアングレ

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精選版 日本国語大辞典 「イングリッシュホルン」の意味・読み・例文・類語

イングリッシュ‐ホルン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] English horn ) オーボエ属管楽器。オーボエより五度低い音域をもつ。主として大編成の管弦楽団で用いられる。コールアングレ。
    1. [初出の実例]「木製管楽器 フリュート 三人 オボー 三人 イングリッシュホルン 一人」(出典:洋楽手引(1910)〈前田久八〉器楽の種類)

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改訂新版 世界大百科事典 「イングリッシュホルン」の意味・わかりやすい解説

イングリッシュ・ホルン
English horn

オーボエより5度低いヘ調の移調楽器コーラングレcor anglaisともいう。名称はいずれも,18世紀中ごろにイギリスで用いられていた狩猟用のホルンに形が似ているからといわれるが,フランス語のanglaisはanglé(曲がった)あるいはangulaire(角度のある)がなまったものという説もあって,正確な語源はわかっていない。オーボエと同じダブルリードの円錐管で,1.043mの長さを持ち,音に含みを持たせるために球根形のベルを持っている。この形の起りは,ルイ14世時代にさかのぼるといわれ,当時の軍楽隊などの新しいオーボエ・バンドで,中音域(低音域はファゴット)を埋めるために用いられたテナー・オーボエの内部が球根形にくりぬかれて,オーボエとファゴットの中間的音色を得たことが今日につながるものとみられる。ベルリオーズワーグナー等によってその音質が生かされはじめたといってよく,オーボエの改良につれて機械的にも進歩をみせ,現在ではオーボエと同じシステムを持っている。独奏楽器ではないが,オーケストラの中で美しくきかれるソロとしては,ベルリオーズの《ローマ謝肉祭序曲,《幻想交響曲》の第3楽章,ロッシーニの《ウィリアム・テル》序曲,ドボルジャーク交響曲新世界から》第2楽章,シベリウスの《トゥオネラの白鳥》等は有名である。
オーボエ
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百科事典マイペディア 「イングリッシュホルン」の意味・わかりやすい解説

イングリッシュ・ホルン

ダブル・リードの木管楽器。コーラングレcor anglaisともいう。オーボエの一種だが,5度低く,ヘ調の移調楽器。音質は鼻声で甘美。その特有の音質を巧みに生かした管弦楽曲としては,ロッシーニのオペラ《ウィリアム・テル》序曲,ドボルジャークの《新世界交響曲》の第2楽章,シベリウスの《トゥオネラの白鳥》などが有名。→リード

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音楽用語ダス 「イングリッシュホルン」の解説

イングリッシュ・ホルン(コーラングレ)[En-glish horn / corno Inglese(仏) / E.Hrn]

イングリッシュ・ホルンは、コーラングレ(Cor Anglais)とも呼ばれ、オーボエよりも5度低い移調楽器。つまり、楽譜上のCの音は、5度低いFの音となって発音される。オーボエの同族楽器だが、音域が低い分、管が長く、また、ベル(あさがお)が、球状にふくらんでいる点が異なっている。17世紀頃、ショームから生まれたといわれ、オーボエ・ダ・カッチャ(狩りのオーボエ)と呼ばれたこともあった。18世紀には、一般に曲がった管で、中にはオーボエのようなベルをもつものもあったが、19世紀に、直管と球状ベルに定着した。19世紀中頃から、大編成の管弦楽にはしばしば用いられるようになった。ベルリオーズの「幻想交響曲」の第3楽章では、イングリッシュ・ホルンとオーボエによる羊飼いの笛の対話に始まる。また、フランクの「交響曲ニ短調」の第2楽章のゆるやかな旋律を、この楽器が柔らかく歌い上げている。そのほか、ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」序曲、ロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲、ドボルザークの交響曲「新世界より」でも、イングリッシュ・ホルンの独奏が聴かれ、親しまれている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イングリッシュホルン」の意味・わかりやすい解説

イングリッシュ・ホルン
いんぐりっしゅほるん
English horn

管楽器。オーボエより完全5度低いヘ調の移調楽器。コーラングレとも。発音原理や奏法はオーボエと等しいが、形態はやや大きく、吸い込み管が屈折し、朝顔が球状であるところに特徴がある。この楽器の前身である18世紀のオーボエ・ダ・カッチャ(狩りのオーボエ)は形態的にコール・ダ・カッチャ(狩りのホルン)と似ており、その点でイングリッシュ・ホルンの語義「イギリスのホルン」の由来を示唆するが、直接イギリスと関係があるかどうかはまだ明らかではない。18世紀には半円形の曲管を示し、徐々に「く」の字形に移行して、1839年には直管のイングリッシュ・ホルンをブロが発明して今日に至っている。シベリウスの交響詩『トゥオネラの白鳥』、ドボルザークの交響曲第9番『新世界より』などで効果的に用いられている。

[中川 真]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イングリッシュホルン」の意味・わかりやすい解説

イングリッシュ・ホルン

「コーラングレ」のページをご覧ください。

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