音楽用語。楽曲全体を旋律や和声の構成音相互の音程関係を変えずに,別の高さに移すこと。たとえばヘ長調の曲を長3度高くしてイ長調に,変ホ短調の曲を短2度低くしてニ短調にすることである。このような操作は調性に基づかない音楽においても行われるが(たとえば12音音列をさまざまな高さに移す),その場合のトランスポジションは移置や移高と訳されることが多い。移調は演奏上の必要から,たとえば声楽曲を歌手の声域に適した高さにするため,また器楽曲を演奏する楽器の音域や特性にふさわしい高さにするために行われる場合もある。演奏を容易にするため,実音とは異なる移調譜を用いる楽器もあり,移調楽器と呼ばれる。
執筆者:津上 智実
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西洋の調性音楽において、声や楽器の固有音域にあうように、ある楽器を原調とは異なる調に移すこと。たとえばハ長調の原曲を長3度上方へ移調すれば、ホ長調の曲となる。ポピュラー音楽系統では、ギターの指板の上にカポタストを取り付けて開放弦の長さを演奏の前に変えることにより、二、三の調性の指づかいを覚えるだけで自由に移調して伴奏するくふうがなされている。鍵盤(けんばん)楽器でも、類似の発想で、鍵盤全体を移動させる仕組みで演奏を容易にすることが16世紀以来試みられ、インドのハーモニウムや現代の電子楽器などに引き継がれている。なお、無調音楽、十二音音楽、近世邦楽でも類似の操作が行われるが、これらは移高、移置といったほうが適切である。
[山口 修]
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…置換のうちで,二つの元のみを入れかえて,他の元は動かさないものを互換という。aとbを入れかえる互換を,(a,b)で表すことがある。すべての置換はいくつかの互換の積で表せる。ある置換を互換の積に表す方法は一意的でなく,因子に現れる互換の数も一定ではない。しかし,互換の偶数個の積であるか奇数個の積であるかは,その置換のみによってきまる。差積に作用させたとき,前者ではP(x1,……,xn),後者では-P(x1,……,xn)になる。…
…したがって,ある長調(または短調)の旋律は,その旋律の同一性を失うことなく,他の長調(または短調)へ移すことができる。これを移調という。一方,ある楽曲ないし楽章の内部で一時的に他の調へ移るのは転調である。…
…一つの楽曲または楽章の内部で,ある調から別の調に変化することを転調と呼び,一つの楽曲全体を別の調(高さ)に移す移調とは区別される。調性音楽の楽曲は一般に1個の基本的な調(主調)をもち,曲の開始部と終結部は主調によるのが通例である。…
※「移調」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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