稲荷祭(読み)イナリマツリ

デジタル大辞泉 「稲荷祭」の意味・読み・例文・類語

いなり‐まつり【稲荷祭(り)】

京都伏見稲荷大社祭礼。4月第2のうまの日(古くは陰暦3月、なかの午の日)の神幸祭稲荷のおいで)、5月初卯はつうの日(古くは陰暦4月、上の卯の日)の還幸祭(稲荷のお旅)、4月9日の例祭がある。 春》
各地稲荷神社祭り。特に、初午はつうま祭り。

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精選版 日本国語大辞典 「稲荷祭」の意味・読み・例文・類語

いなり‐まつり【稲荷祭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 京都の伏見稲荷大社の祭礼。古くは、四月上卯(う)の日を式日とする。旧暦三月中(なか)の午日(うまのひ)に、神璽をうつした五基の神輿(みこし)が、京都油小路西九条の御旅所に神幸する神幸祭(「稲荷のお出で」)と、御旅所に約二〇日間滞留したのち、翌四月上卯日(三卯あれば中卯日)に本社に還幸する還幸祭(「稲荷のお旅」)とがある。御旅所より還幸のさい、神輿が東寺に入り寺家の神供を受けた。明治以後、改暦により、四月第二午日を神幸祭、五月第一卯日を還幸祭とし、四月九日を例祭と定め、一社限りの祭典となった。なお、近世には、神幸のさい、散銭の落ちたのを拾おうとして乞食が多く付き従ったので、俗に乞食祭といわれた。《 季語・夏 》
    1. 稲荷祭<b>①</b>
      稲荷祭
    2. [初出の実例]「いなりまつり見しかたはらなるくるしきさまのちまきなどとりいれて」(出典:和泉式部集(11C中)上)
  3. 稲荷明神の祭。
    1. (イ) 旧暦二月の初午(はつうま)の日に各所で行なわれた。初午。初午祭。《 季語・春 》
      1. [初出の実例]「むらといひて、いなりまつりなどいふ祭わたる者の」(出典:今鏡(1170)七)
    2. (ロ) 近世、歌舞伎の下級役者などが中心となって行なった稲荷明神の祭。
      1. [初出の実例]「稲荷祭りの心にて、処々へ地口行燈を立てあり」(出典:歌舞伎・忠臣蔵年中行事(1877)二月)
  4. 六月二一日に行なう大阪難波の仁徳天皇宮の祭礼で、世に誤って博労稲荷と呼ぶもの。《 季語・夏 》

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世界大百科事典(旧版)内の稲荷祭の言及

【歌舞伎】より

…このように,劇場の興行は一種の年中行事のような約束を踏まえて運営されていたのである。 上記の興行のほかに,正月1日の仕初め(しぞめ)(式三番叟),2月初午の稲荷祭,5月28日の曾我祭,6月の土用休み,9月12日の世界定め,10月17日の寄初(よりぞめ),12月10日ごろの顔見世狂言舞納(まいおさめ)などを加えて,〈芝居年中行事〉と呼んでいた。 劇場が毎月一興行を行うようになったのは大正以後のことで,松竹は専属俳優を毎月出演させる慣習を作った。…

【伏見稲荷大社】より

…近世には商業神として町人の信仰をあつめ,全国津々浦々に勧請され,稲荷講信者の稲荷山登山は絶えず,山中いたるところに信者の守護神(御眷属)が数千ヵ所もまつられて壮観を呈する。現在,おもな祭礼には稲荷祭のほか1月5日の大山祭(注連張(しめはり)神事),同12日の奉射祭,2月の初午大祭,11月8日の火焚祭,12月初申の御煤(すす)払祭があるが,とくに初午の祭はすでに平安朝より有名である。稲荷信仰【村山 修一】
[稲荷祭]
 毎年4月20日に最も近い日曜日に神幸祭があり,5月3日に還幸祭が行われる。…

※「稲荷祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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