幼児のおもちゃの一種。種々の基本形の立体的な木片からできたもので,これを積み重ねることによっていろいろなものを造形化して遊ぶ。ホオノキ,カツラなどの木片を着色して,描画した家や乗物などのセットになっているものが多く市販されている。積木はフレーベル以前にもおもちゃとしてあったと考えられるが,彼が1830年代に20種類の恩物を考案制作し,そのなかの第3恩物から第6恩物までに積木を取り入れている。恩物としての積木は着色せず,生地のままのもので,そのなかでもフレーベルの積木,イタリアの女流教育家であったモンテッソリ考案のもの,またイギリスのヒルの積木などが有名である。フレーベルおよびモンテッソリの積木は小型で,ヒルの積木は大型で幼児には持運びに力を要するものである。日本では,1876年に官立幼稚園ができ,フレーベルに直接教えを受けたという松野クララが主任保母となり,それ以来,幼稚園の教育においてフレーベルの積木は彼の恩物とともに保育に有効に用いられている。積木は3~4歳から6~7歳までの男女児に適するものである。現在,一般の幼稚園で用いられているものは,小型,中型,大型があり,また形態も立方体,直方体,三角柱,板などがある。小型のものは,幼児がひとりでこれを用いて遊び,また大型のものは彼らの協力性を養うことができる。さらに着色されたものより,生地のままの積木のほうが幼児の想像力,思考力,構成力を養い,発明くふうの力をつちかうことができる。
→恩物
執筆者:坪内 千秋
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…日本にも1876年の幼稚園創設とともに導入され,実際の幼児保育に用いられてきた。19世紀末に,ホールG.S.Hallら心理学者により,その象徴主義の面が批判され,フレーベルとその弟子たちによって考案された本来の恩物の使用はすたれていったが,積木を典型とする遊具は,恩物の変形として今日なお広く幼児教育の場で用いられている。【平野 正久】。…
…それまでは,ただ子どもの関心に従って作られた玩具が,このときから子どもの豊かな成長を願う親たちの要求を組み入れるようにもなってきたのである。フレーベルはこの恩物の中で,子どもがものごとを正しく認識するには,基本的なものを正しく与えなければならないと考え,そのために,幾何学的な基本形と一定の数や大きさや色彩をもった玩具を作った(この中には積木の元祖といえるものも含まれている)。そうすればおのずと子どもは創造的な活動を展開していくと考え,これを実践したのである。…
※「積木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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