穴熊(読み)アナグマ

デジタル大辞泉 「穴熊」の意味・読み・例文・類語

あな‐ぐま【穴熊】

イタチ科の哺乳類。体長50~90センチ。タヌキに似るが、爪が長く、クマのようにかかと地面につけて歩く。夜行性で雑食。ヨーロッパとアジアの温帯地方に分布。日本では本州四国・九州の山林に深い穴を掘ってすむ。ささぐま。まみ。むじな。あなほり。 冬》
将棋で、端の香車きょうしゃを一けん上げ、そのあとへ王将を入れて金将銀将で囲む形。岩屋囲い。
[類語](1いたちおこじょフェレットてんミンクスカンク

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「穴熊」の意味・読み・例文・類語

あな‐ぐま【穴熊】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あなくま」とも )
  2. イタチ科の哺乳類。タヌキ(イヌ科)と混同してムジナと称する地方もある。ユーラシア大陸に広く分布し、日本では本州、四国、九州の森林中に穴居。夜行性で雑食する。体長七〇~八〇センチメートルで、四肢は太い。手の爪は長く頑丈で、穴掘りに適応する。背は褐色で霜降り状、腹と四肢は黒褐色。毛や肉を利用。あなほり。ささぐま。まみ。みだぬき。むじな。〔博物図教授法(1876‐77)〕
  3. 冬季、穴に蟄居(ちっきょ)している熊。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「穴熊の出ては引込時雨かな〈為有〉」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)冬)
  4. 将棋で王将の囲い方の一つ。香車(きょうしゃ)を一ます進めた跡に王将が入り、金将、銀将で守りを固めるもの。

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世界大百科事典(旧版)内の穴熊の言及

【将棋】より

… 舟囲い王を左側に寄せ,舟に乗ったような形。 穴熊左右どちらかの香を1段進め,そのあとへ王を入れ金銀で囲うもの(図15)。 居玉王を原位置のままで戦うこと。…

【レオーノフ】より

…中学卒業後,赤軍に勤務し,1922年童話風の短編《ブルイガ》でデビューした。幻想的題材の短編やドストエフスキーの影響の強い中編《小人間の死》(1924)などを経,長編《穴熊》(1924)で文名を確立した。《穴熊》は,共産党支配に抗する農民反乱の中で敵味方に分かれる兄弟の運命を通して,都市と農村の宿命的対立という形でロシア革命をとらえた作品で,革命後の傑作である。…

【ロシア文学】より

…社会主義建設をテーマにしたものはセラフィモービチ《鉄の流れ》(1924),グラトコフ《セメント》(1925),新旧世代の相克をテーマにしたものはA.N.トルストイの1920年に書き始められ,41年に完成した長編三部作《苦悩の中を行く》,オレーシャ《羨望》(1927)などが代表作である。このほかピリニャーク(《裸の年》1922),レオーノフ(《穴熊》1924,《泥棒》1927),エレンブルグ(《トラストD.E.》1923),風刺文学の傑作としてゾシチェンコ(《シネブリューホフ物語》1922),ザミャーチン(《われら》英語版1924,ロシア語版1927),カターエフ(《浪費家》1926),イリフ・ペトロフ(《12の椅子》1928など)の名をあげておく必要がある。(3)第1次五ヵ年計画期(1928‐1932) 社会主義建設が本格的に開始され,1929年には農業集団化が行われて社会生活のあらゆる領域で深刻な変化が起こった。…

※「穴熊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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