(読み)たたけ

精選版 日本国語大辞典 「狸」の意味・読み・例文・類語

たたけ【狸】

〘名〙 (「たたげ」とも)
① 「たぬき(狸)」の異名
※大治本新華厳経音義(奈良末)「猫狸〈略〉倭言上尼古、下多多既(タタケ)
② 筆の穂にする狸の毛。〔壒嚢鈔(1445‐46)〕

たのき【狸】

〘名〙 「たぬき(狸)」の変化した語。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)二「ししやたのきの様な人でをり候ぞ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「狸」の意味・読み・例文・類語

たぬき【×狸/×貍】

イヌ科の哺乳類。頭胴長50~68センチ。体はずんぐりしていて、尾が太く、脚が短く、耳は丸くて小さい。毛は厚く、密生した下毛と荒く長い差し毛とがある。木の根元のうろや岩穴、アナグマの放棄した巣穴などをねぐらとする。夜行性で、雑食性。驚くと仮死状態になることがある。日本・中国・アムール地方に分布毛皮は防寒用に、毛は毛筆に使用。昔話などに人を化かすとしてよく登場する。 冬》「戸をたたく―と秋を惜しみけり/蕪村
人のよさそうなふりをしていて、実際にはずるがしこい者。「あの親父はとんだ―だ」
饂飩うどん」「蕎麦そば」などの略。
狸寝入り」の略。「―を決めこむ」

り【狸】[漢字項目]

[音]リ(呉)(漢) [訓]たぬき
〈リ〉
ネコ野生のネコ。「狸奴りど
タヌキ。「海狸狐狸こり
〈たぬき(だぬき)〉「狸汁古狸
[補説]「貍」は異体字

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「狸」の意味・わかりやすい解説

狸 (たぬき)

(1)地歌の曲名 別名《小夜時雨(さよしぐれ)》。堺屋方舟作詞,鶴山勾当作曲の端歌。三下り。恋人を待つ男が狸寝入りをしてたわむれるラブシーンを扱った,抒情的なしゃれた曲である。

(2)地歌の曲名 作詞,作曲者ともに不明。〈作物(さくもの)〉と呼ばれる浄瑠璃風の滑稽(こつけい)な曲。本調子。神前を荒らす狸を,宮守りが鉄砲で撃とうとすると,その狸が平謝りに謝り,自分は身持ち狸で,今撃たれては腹の子は闇から闇,どうぞ助けてと手を合わす。宮守りは人間畜生と変われど親子の情は一つと助ける。そこで狸は腹鼓を打ってきかせる。腹鼓の手事がきかせどころ。

(3)長唄の曲名 本名題《昔噺狸(むかしばなしたぬき)》。1864年(元治1)木場の宴会の余興として作られたものといわれ,2世杵屋(きねや)勝三郎作曲。狸に関する話をまとめたもので,長唄としては珍しく茶気満々たる滑稽な曲。一下りの前弾きののち,本調子の荘重な大薩摩(おおざつま)で出て文福茶釜の由来。そのまま荘重さがつづくかと見せてがらりとくだけて軽妙な曲調になり,かちかち山から狸長屋のそそり節,次に新内流しを地に,伝法なせりふの会話。つづく狸の腹鼓の合の手は,あらゆる三味線の技法を使って思いきり技量を発揮する。あと狸ばやしから曲は二上り。ここも三味線の受持ちで飄逸(ひよういつ)豊麗な気分で屋台囃子を演じ,綱渡り曲芸のにぎやかさを盛り上げ,治まる御代をたたえて曲を結ぶ。寄席などで演じられる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「狸」の解説

狸 (タヌキ)

学名:Nyctereutes procyonoides
動物。イヌ科の動物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android