( 1 )「法華経音訓」には「狸」にタタケ、タヌキ、ネコマ、「観智院本名義抄」には同じくタヌキ、タタケのほかイタチという訓が付されているので、「狸」字は、現代のように必ずしもタヌキのみを指すわけではなかったと思われる。
( 2 )狸が人を化かすという俗信は古くからあったらしく、「今昔物語集」には「狐・狸の獣の為に謀らるるには非ず」とあり、「古今著聞集‐一七」には、古狸が人を化かす話が四話おさめられている。
(1)地歌の曲名 別名《小夜時雨(さよしぐれ)》。堺屋方舟作詞,鶴山勾当作曲の端歌。三下り。恋人を待つ男が狸寝入りをしてたわむれるラブシーンを扱った,抒情的なしゃれた曲である。
(2)地歌の曲名 作詞,作曲者ともに不明。〈作物(さくもの)〉と呼ばれる浄瑠璃風の滑稽(こつけい)な曲。本調子。神前を荒らす狸を,宮守りが鉄砲で撃とうとすると,その狸が平謝りに謝り,自分は身持ち狸で,今撃たれては腹の子は闇から闇,どうぞ助けてと手を合わす。宮守りは人間畜生と変われど親子の情は一つと助ける。そこで狸は腹鼓を打ってきかせる。腹鼓の手事がきかせどころ。
(3)長唄の曲名 本名題《昔噺狸(むかしばなしたぬき)》。1864年(元治1)木場の宴会の余興として作られたものといわれ,2世杵屋(きねや)勝三郎作曲。狸に関する話をまとめたもので,長唄としては珍しく茶気満々たる滑稽な曲。一下りの前弾きののち,本調子の荘重な大薩摩(おおざつま)で出て文福茶釜の由来。そのまま荘重さがつづくかと見せてがらりとくだけて軽妙な曲調になり,かちかち山から狸長屋のそそり節,次に新内流しを地に,伝法なせりふの会話。つづく狸の腹鼓の合の手は,あらゆる三味線の技法を使って思いきり技量を発揮する。あと狸ばやしから曲は二上り。ここも三味線の受持ちで飄逸(ひよういつ)豊麗な気分で屋台囃子を演じ,綱渡り曲芸のにぎやかさを盛り上げ,治まる御代をたたえて曲を結ぶ。寄席などで演じられる。
執筆者:浅川 玉兎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
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