真船豊の戯曲。1934年(昭和9)6月《劇文学》創刊号に発表。同年9月創作座により飛行館で初演。東北の一農村の没落した旧家だるま屋が舞台。当主万三郎が南洋へ出稼ぎに行った留守中,老母おかじは殺人罪の亭主持ちの娘おしまと日夜いがみあう。抵当に入った家屋敷の処分が始まろうとするところへ,不品行から家出をし,織物工場主となったおかじの妹おとりが帰郷して,借金を立て替える。帰国した万三郎は,だるま屋を手に入れようとする叔母の魂胆に気づかず南洋へ去るが,真相を知ったおかじはおとりをののしって憤死する。物欲につかれた骨肉の醜い争いを会津方言によって描き,赤裸の“人間”の骨太な造型に成功して出世作となった。《山参道》(1941)はその後日譚。
執筆者:永平 和雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
真船豊(まふねゆたか)の戯曲。3幕。1934年(昭和9)6月『劇文学』に発表、同年9月久保田万太郎演出により創作座が初演。東北地方の旧街道沿いの一寒村が舞台。跡取りの万三郎が南洋に出稼ぎに行って3年目、没落寸前の旧家だるま屋を守る老母おかじのところへ、家出して小金をため込んだ妹おとりが現れ、やがて帰国した万三郎をだましてだるま屋を乗っ取る。瀕死(ひんし)のおかじはおとりに向かい、「……くそっ、し、死んでも、うう、うぬが世話になっかア……」と絶叫する。肉親同士の織り成す人間の欲望の根源的な姿を、会津方言を基盤にした力動感あふれる独自の台詞(せりふ)運びに定着した作者の出世作である。アイルランド文学の影響が濃い。
[大島 勉]
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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