空中給油機と戦闘機などをホースや筒状の「ブーム」と呼ばれる装置でつなぎ、飛行しながら燃料を補給する作業。給油機の後方における気流の乱れもあり、夜間は特に難易度が高い。2016年12月には沖縄県の米軍普天間飛行場所属の輸送機オスプレイがプロペラを給油機のホースに接触させ、名護市の浅瀬に不時着して大破した。米軍では本来、実施する前に厳しい資格訓練が必要になるが、昨年12月に高知県沖で事故を起こした操縦士は資格を得る十分な訓練を終えていなかった。(共同)
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飛行中の航空機からほかの航空機へ燃料を移し、長距離の飛行を可能にするための補給を行うこと。世界最初の空中給油は、1930年にアメリカで行われ、一部では実用化されていたが、多用されるようになったのは、燃料消費の多いジェット機が軍用機の主力となってからである。空中給油は、基本的には長距離の移動や侵攻攻撃に際して、航続距離を延長するために使われる。防空戦闘では、滞空時間を延長するために使われることも考えられているが、実際にはほとんど使われた例はない。
空中給油のシステムでは、専用の空中給油母機を使う方法と、攻撃機などに空中給油用の装置を搭載するバディ・システムとよぶ方式があり、大規模な使用では前者が、小規模な部隊では後者が使われるのが普通である。燃料の移送方式には、ブームを給油を受ける機体に差し込むフライング・ブーム方式と、燃料ケーブルにバケットをつけ、給油を受ける機体がプローブでとらえる、プローブ・アンド・ドローグの2方式が一般的。このうちフライング・ブームはおもにアメリカ空軍が現在使用しており、アメリカ海軍やそのほかの軍は、バディ方式も含めてプローブ・アンド・ドローグで給油を行っている。またプローブ・アンド・ドローグでは、ヘリコプターに空中給油を行うこともできるようになった。
[青木謙知]
飛行機の航続距離や航続時間を延ばすため,飛行中の飛行機に燃料を補給すること。空中給油は,1923年アメリカ陸軍が実験に成功して以来,記録の達成など特殊な目的のため使用されたが,ジェット機の時代になり,その大きな燃料消費を補うため,戦略爆撃機,戦闘爆撃機および艦上機などに対し,常用されるようになった。空中給油を行う母機は空中給油機tankerと呼ばれ,大型の燃料タンクと給油装置をもち,輸送機などを原型として作られたものが多い。現代の空中給油の方式には2種類ある。一つはイギリスの開発したプローブ・ドローグprobe-drogue方式で,この方式では空中給油機は,尾部または翼端からドローグ(先端に給油口のあるホース)を下ろす。給油を受ける飛行機は,プローブという受油棒をもっており,給油機の後ろから接近して,このプローブを給油口に差し込み,給油を受ける。同時に2~3機に給油可能である。他の方式はアメリカの開発したフライング・ブームflying boom方式と呼ばれるもので,この方式では,給油を受ける飛行機は胴体上部に特別な受油口をもち,給油機の後ろ下方に接近する。給油機は,尾部からフライング・ブーム(先に小翼のついた管)を下ろし,後部にいる操作員が飛行機を見ながら,ブームの先の小翼を操作することによってブームの位置を動かし,受油口にこれを差し込み給油する。同時に1機しか給油できないが,給油量は大きい。
執筆者:鷹尾 洋保
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