童部(読み)ワラワベ

デジタル大辞泉 「童部」の意味・読み・例文・類語

わらわ‐べ〔わらは‐〕【部】

子供。子供たち。
「―のかしらばかりを洗ひつくろひて」〈・五〉
まだ子供である妻。自分の妻をへりくだっていう語。
「これはその後、相添ひて侍る―なり」〈大鏡・序〉
子供の召使い
姫宮御方の―の装束、つかうまつるべきよし」〈・八〉
寺院で召し使う子供。
「これは―の供養じて侍る初穂なりとて奉れり」〈・早蕨〉
元服もしないで無頼に暮らしている若者
「ここは―、ばくち集り居りて」〈宇津保藤原の君〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「童部」の意味・読み・例文・類語

わらわ‐べわらは‥【童部】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 子どもたち。子ども。わらわ。わらんべ。わろうべ。
    1. [初出の実例]「わらはべの踏みあけたる築地のくづれ」(出典:伊勢物語(10C前)五)
  3. まだ子どもである妻。自分の妻をへりくだっていう語。
    1. [初出の実例]「かの大将の〈略〉娘は、頼明がわらはべにてなん侍る」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
  4. 貴族に仕えている、成人式前の姿をした召使。下人は元服しないので相当な年齢の者もいる。
    1. [初出の実例]「わらはべ、みな馬につきて去にければ」(出典:平中物語(965頃)二二)
  5. 寺院で、読経の僧のために雑役に従う童子。相当な年齢の者もいる。ちご。
    1. [初出の実例]「あざりのもとより〈略〉これは、わらはべの供養して侍る初穂なりとて奉れり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)早蕨)
  6. 元服もしないで無頼に暮らしている下賤の者。
    1. [初出の実例]「ここはわらはべ、ばくち集り居りて、物くらふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)

わろう‐べわらう‥【童部】

  1. 〘 名詞 〙 「わらわべ(童部)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「諸の童子(ドウジ)(〈注〉ワラウヘ)のために、打擲せられて、もろもろの苦痛をうけ」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)二)
    2. 「七つ八つはかりのわらふへ」(出典:御伽草子・富士の人穴草子(室町時代小説集所収)(室町末))

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