弦楽器の名称。〈ちくきん〉〈たけごと〉ともいう。竹製の胴をもつチター型弦鳴楽器の総称として用いることもある。東南アジアからマダガスカル島一帯にまで広く分布し,それぞれ名称・構造は異なる。日本では,《日本書紀》巻十七継体紀の春日皇女(かすがのひめみこ)の歌に,竹で琴を作ったことが記されるが,これに該当する遺物もなく,他の日本の固有の琴類との関係も不明。江戸時代末期に,葛原勾当(くずはらこうとう)が考案した二弦琴を当初〈竹琴〉と名づけた。一般には,1886年,田村竹琴(本名与三郎)が考案した3弦の琴をいう。太い竹を半分に割った上に桐板を張る。左手中指にはめた翠管(すいかん)で勘所(かんどころ)を押さえ,右手食指にはめた鳳爪(ほうそう)と称する管状の義甲で撥弦(はつげん)する。明治末期には,ほとんど流行しなくなった。
執筆者:平野 健次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…日本では,《日本書紀》巻十七継体紀の春日皇女(かすがのひめみこ)の歌に,竹で琴を作ったことが記されるが,これに該当する遺物もなく,他の日本の固有の琴類との関係も不明。江戸時代末期に,葛原勾当(くずはらこうとう)が考案した二弦琴を当初〈竹琴〉と名づけた。一般には,1886年,田村竹琴(本名与三郎)が考案した3弦の琴をいう。…
…日本では,《日本書紀》巻十七継体紀の春日皇女(かすがのひめみこ)の歌に,竹で琴を作ったことが記されるが,これに該当する遺物もなく,他の日本の固有の琴類との関係も不明。江戸時代末期に,葛原勾当(くずはらこうとう)が考案した二弦琴を当初〈竹琴〉と名づけた。一般には,1886年,田村竹琴(本名与三郎)が考案した3弦の琴をいう。…
…また,バリ島東部では,アンクルンに金属製打楽器の加わったガムラン・アンクルンが,村や寺院の儀式に不可欠の音楽を担っている。なお,ジャワ島東部およびバリの一部では,しばしば竹琴をこの名称で呼ぶことがある。【田村 史子】。…
…ただし,2弦はすべて同律に調弦されるので,複弦の一弦琴とみなすこともできる。八雲琴(やくもごと),竹琴(ちつきん),東流(あずまりゆう)二弦琴があり,大正琴(たいしようごと)もそれらの改良楽器である。二弦琴に1弦を加えて3弦としたものに,大和琴(やまとごと)または初瀬琴と称するものや,田村竹琴創案の竹琴などがあったが,伝承は絶えている。…
※「竹琴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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