神奈川県南西部、箱根(足柄下(あしがらしも)郡箱根町)にある温泉郷。奈良時代に始まって、早川渓谷を中心に自然湧出(ゆうしゅつ)の温泉が発見され、元禄(げんろく)年間(1688~1704)には箱根七湯とよばれていた。大正から昭和初期にかけて新温泉源の探索が進められ、現在源泉数は350を超え、温泉地は二十一湯といわれている。箱根は泉質が14種もあることで世界的に有名で、源泉の下流部にあたる早川沿いに湧(わ)き出すものは、各種の成分が混合して塩化物重炭酸塩硫酸塩泉である。箱根温泉郷は文化財が豊富で、祭礼などの年中行事、民俗芸能、伝説、民謡がよく保存され、教養観光資源が充実している。土産(みやげ)品に箱根細工がある。
[浅香幸雄]
『箱根七湯栞』
歌川広重『箱根七湯図絵 湯もと』
歌川広重『箱根七湯図絵 塔の沢』
歌川広重『箱根七湯図絵 宮の下』
歌川広重『箱根七湯図絵 堂かしま』
歌川広重『箱根七湯図絵 底倉』
歌川広重『箱根七湯図絵 木賀』
歌川広重『箱根七湯図絵 芦のゆ』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報