篦岳山(読み)ののだけやま

日本歴史地名大系 「篦岳山」の解説

篦岳山
ののだけやま

[現在地名]涌谷町篦岳

篦岳丘陵の東方にある標高二三二メートルの山だが、近世は一山全体が山頂にある箟峯こんぽう寺領であった。そのため正保郷帳以下の郷帳などには記載されない。明治一四年(一八八一)時の正式名称は篦岳村、同一九年には篦岳山となっている(地方行政区画便覧)。北側をはさま川、南側を江合えあい川がそれぞれ東流する。山は殺生禁断霊山で、寺領内には門前集落が営まれていた。北に太田おおた、南に涌谷、東に吉住よしずみ、西に成沢なりさわ北西小里おさとの集落がある。地名の由来は「観蹟聞老志」によると、源義家が東行したおり、当地に矢を立てたところ根づき、矢竹(篦)の山となったことによるという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「篦岳山」の意味・わかりやすい解説

篦岳山
ののだけやま

宮城県東部、遠田(とおだ)郡涌谷町(わくやちょう)にある山。標高236メートル。「のの」は神や仏を表す語。山頂に奥州三観音の一つ篦峯寺(こんぽうじ)篦岳観音があり、坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が開基し、慈覚(じかく)大師円仁(えんにん)が中興の祖と伝えられる。大崎耕土(こうど)の中央に位置し、南北朝時代からこの地方一帯の信仰の中心で、大崎、葛西(かさい)、伊達(だて)の各氏の保護を受けた。山頂からは仙台平野などの展望に優れる。

[境田清隆]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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