(読み)ほしいい

日本大百科全書(ニッポニカ)「糒」の解説


ほしいい

米を一度煮たり蒸したうえで、天日に干した飯。乾(干)飯とも書き、「ほしい」「かれい(い)」ともいう。出征、旅行などのときに所持した携帯食で、水か湯につけて柔らかくして食べた。古代の兵士食として、「凡(およ)ソ兵士ハ人別ニ糒六斗、塩二升備ヘヨ」(軍防令兵士備糒(びひ)条)とある。六斗は30日分の食料にあたるという。また、『日本書紀』允恭(いんぎょう)天皇7年12月壬戌(みずのえいぬ)条に、天皇の命令で派遣された中臣烏賊津使主(なかとみのいかつのおみ)が、拒み続ける衣通郎姫(そとおしのいらつめ)を召すため、庭先に伏して中の糒を食べながら衣通郎姫の受諾をじっと待った話を載せている。

[明石一紀]

『関根真隆著『奈良朝食生活の研究』(1969・吉川弘文館)』

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精選版 日本国語大辞典「糒」の解説

ほしい ほしひ【糒】

〘名〙 「ほしいい(干飯)」の変化した語。
※書紀(720)允恭七年一二月(図書寮本訓)「飲食(みついひ)を与(あた)ふれども飡(くら)はず。密(しのひ)て懐中(ふつころ)の糒(ホシヒ)を食(くら)ふ」

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世界大百科事典内のの言及

【携帯食糧】より

…貯蔵保存性の点で,古くから備蓄用の食料とされたものも多く,調理の省略化をめざす面では,いわゆる非常食や宇宙食とも密接な関連をもつ。 日本では古くから焼米や乾飯(ほしいい)(糒(ほしい))が用いられた。焼米はもみをいって殻を除いたもので,水や湯をかけ,あるいはそのまま食べた。…

【米】より

…大和朝廷の時代に入ると,朝廷に納めるは稲の種実を主体とするようになる。《正倉院文書》のなかの幾つかの国の正税帳をみると,納められる形には穀,穎稲(えいとう),糒(ほしいい)の三つがあり,さらに薩摩,駿河,豊後,紀伊その他では,稲穀のほかにアワが租として納められている。アワ納の場合も穀と穎粟(えいぞく)があるが,アワ納の多い薩摩の2郡の場合でも,米納分の25%くらいである。…

【乾飯】より

…干した飯の意で,〈ほしい〉〈かれいい,かれい(餉)〉ともいい,糒とも書く。米を蒸して乾燥したもので,湯や水にひたし,あるいはそのまま食べた。…

※「糒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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