糖質制限食(読み)トウシツセイゲンショク

デジタル大辞泉 「糖質制限食」の意味・読み・例文・類語

とうしつせいげん‐しょく〔タウシツセイゲン‐〕【糖質制限食】

糖質の量を低く抑え、食後血糖値上昇を緩やかにする食事のこと。糖尿病治療などに用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「糖質制限食」の意味・わかりやすい解説

糖質制限食
とうしつせいげんしょく

穀物類、麺(めん)類、イモ類、砂糖など、糖質(炭水化物)を多く含む食品の摂取量を低く抑えた食事。糖質の摂取量を抑えて食直後の血糖値の上昇を緩やかにし、食後高血糖を防ぐことにより、糖尿病の予防につなげられるとされる。低糖質食ともいい、糖尿病の食事療法として治療に用いられるものを、とくに糖尿病食とよぶ。肥満防止などの目的のほか、食後血糖値が1デシリットル当り180ミリグラム以上になると動脈硬化が進行するという報告もあることから、糖質制限食への関心が高まっている。一方日本糖尿病学会では、総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図る糖質制限食は、肥満防止や糖尿病予防に効果があるとする十分な根拠に乏しく、現時点では積極的に勧められないと提言している。その背景には、日本人の総エネルギー摂取量が減少傾向にあるのに比べて、脂質の摂取量が増加しているという、栄養摂取に関する調査結果がある。こうした脂質栄養の過剰摂取が日本人の肥満や2型糖尿病の増加に大きく関与すると指摘されており、動脈硬化や脂質異常症を促進させる可能性も考えられる。ただし、こうした指摘に対しては、脂質の過剰摂取と動脈硬化による死亡率とは相関関係はないとする反論もある。

 日本糖尿病学会の提言では、それぞれ栄養素の摂取量は、エネルギー代謝に関する包括的な視点に立って評価すべきとして、単独の糖質制限食に注意を促している。

[編集部 2016年7月19日]

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知恵蔵 「糖質制限食」の解説

糖質制限食

食事療法の一つで、ご飯やパンなどの主食や、野菜などに含まれる糖質の摂取量を制限するもの。主にダイエットを目的として行われることが多いが、食後高血糖を抑える効果があることから糖尿病治療の一環として推奨・指導している医療機関もある。
糖質とは、たんぱく質、脂質、ミネラル食物繊維のどれにも当てはまらない成分のこと。でんぷんや、グルコース(ブドウ糖)、ショ糖、乳糖、果糖といった糖類が糖質に分類される。
ダイエット目的の糖質制限食では、主食を取らずにおかずだけを食べるなどして糖質の摂取量を減らす一方で、全体のカロリーや、たんぱく質、脂質など他の栄養素の摂取量は制限しないのが一般的な方法である。例えば、夕食でいつも白米を茶わん1杯ずつ食べていた人が、これをやめておかずのみにした場合、約50gの糖質をカットすることができる。カロリーにすると約250kcal分を白米以外の食品で補うことになるため、たんぱく質や脂質の摂取量が増えることになるが、それぞれをどのぐらい増やすかということは糖質制限食では普通コントロールしない。てんかんなどの治療を目的に、同じように糖質を減らす食事療法にケトン食があるが、ケトン体の産生効率を上げるために脂質の摂取量を60~90%まで意図的に増やす点で異なる。
糖尿病治療のための糖質制限は、糖質は摂取してから2時間以内にグルコース(ブドウ糖)となって血糖値を上げることに着目して行われる。毎食後に高血糖状態になることが長期間にわたって続くと、糖尿病予備軍が糖尿病に移行しやすくなったり、糖尿病患者においては心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まることが知られているからだ。ただし、専門医の指導のもとで実施しないとかえって病状が悪化する可能性もある。特にインスリン療法を行っている患者は糖質制限により低血糖を起こすこともあるので慎重な検討を要する。また、2013年3月、日本糖尿病学会は、腎症や脂質異常症を合併している糖尿病患者における糖質制限のリスクについて警告を発している。

(石川れい子  ライター / 2013年)

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