日本大百科全書(ニッポニカ) 「紅亜鉛鉱」の意味・わかりやすい解説
紅亜鉛鉱
こうあえんこう
zincite
亜鉛(Zn)鉱物の一つ。きわめて局限された産地に多産する。アメリカのニュー・ジャージー州フランクリン・ファーネスFranklin Furnace鉱山(閉山)およびスターリング・ヒルSterling Hill鉱山(閉山)の変成層状亜鉛鉱床、マンガン鉱床に多産し、亜鉛の鉱石鉱物となる。1980年以降に数回爆発したワシントン州セント・ヘレンズ火山の火山噴出物からも確認された。多くは塊状集合あるいは粒状をなして産し、少量成分のマンガン(Mn)は両主要産地のものに広く含有されている。方解石、フランクリン鉱、珪(けい)亜鉛鉱などと共存する。日本ではまだ産出は知られていない。英名は成分の亜鉛に由来する。和名は色と成分にちなむ。
[加藤 昭 2016年8月19日]