さ‐や【紗綾】
〘名〙
絹織物の
一種。平織地に四枚経綾で
文様を織り出したもので、
表面がなめらかで
光沢があり、
稲妻、
菱垣(ひしがき)、卍
(まんじ)などの
模様を織り出したものが多い。中世末期ごろから江戸初期にかけて、多く用いられた。
※俳諧・大坂檀林桜千句(1678)第一〇「浅黄帽子おもひにみたす風の月〈素敬〉 稲妻ひかる紗綾の
手覆〈反雪〉」
サアイ【紗綾】
〘名〙 (saai) 絹織物の一種。
平地に四枚綾で卍
(まんじ)・稲妻・菱垣などの模様を浮き織りにしたもの。サアヤ。さや。〔増補華夷通商考(1708)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「紗綾」の意味・読み・例文・類語
さや【×紗×綾】
平織り地に、稲妻・菱垣・卍などの模様を斜文織りで表した光沢のある絹織物。中世末ごろから江戸初期にかけて多く用いられた。さあい。さあや。
[補説]語源は、ポルトガル語のsaia(スカート)からともいう。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
紗綾
さや
「さあや」の約で、絹織物の一種。日本では近世から織られ、『工芸志料』によると、天正(てんしょう)年間(1573~92)京都で中国製に倣って織り出したという。組織は四枚綾(あや)からなり、菱垣(ひしがき)、稲妻、卍(まんじ)つなぎの文様を織り出した飛(とび)紗綾と、文様のない滑(なめ)紗綾とがある。綸子(りんず)とほとんど同じような糸使いであるが、地合いはこれより薄い。とくに織り出された卍つなぎの文様は紗綾形として、江戸時代には広く染織品に用いられた。
[角山幸洋]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典内の紗綾の言及
【紗綾形】より
…卍(まんじ)つなぎの一種で,卍をななめにつらねた連続模様。紗綾(さや)は4枚綾からなる地合の薄い絹織物。その地紋に用いられたのでこの名があるという。…
※「紗綾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報