綸子(読み)リンズ

デジタル大辞泉 「綸子」の意味・読み・例文・類語

りん‐ず【×綸子/×綾子】

《「りん(綾)」「ず(子)」は唐音》滑らかで光沢がある絹織物後練り繻子しゅす織り一種で、紋織りと無地とがある。染め生地として使用

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「綸子」の意味・読み・例文・類語

りん‐ず【綸子・綾子】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「りん」「ず」はそれぞれ「綾」「子」の唐宋音 ) 滑らかで光沢のある、後練りの繻子(しゅす)織りの絹織物。紋織りと無地とがある。生糸で織り上げた後、精練する。染め生地として、訪問着などに用いる。
    1. [初出の実例]「クレナイノ rinzu(リンズ) ジッタン」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「綸子」の意味・わかりやすい解説

綸子 (りんず)

経緯(たてよこ)とも無撚の生糸を使って織り,製織後に精練して用いる後染(あとぞめ)・後練(あとねり)の紋織物。一般には地を経の五枚繻子(しゆす),あるいは八枚繻子として,文様はその裏組織で織り出す。地質が柔らかく,光沢に富むことを特徴とし,染呉服用の生地として広く活用されている。なお上記の本繻子のほかに,緯糸強撚糸を用いて皺(しわ)を出した綸子縮緬(ちりめん),四枚変化綾組織による平綸子などがある。日本での綸子は,慶長年間(1596-1615)西陣で中国の織技にならって織り始められたと伝えられている。しかし桃山から江戸初期(16世紀後半~17世紀)にかけて中国製の綸子が多量に輸入され,これが将軍家への献上品としてもしばしば用いられたことの記録がある。また一般に慶長裂(ぎれ),慶長小袖と呼ばれているものをはじめ,江戸初期の小袖類には綸子地のものが多いが,当時これが高級織物の筆頭とされていたことは,1666年(寛文6)の衣服禁令で一般武士階級の綸子着用は法度(はつと)とされていたことからも明らかである。当初は京都が主産地であったが,江戸中期ころには桐生でも製織されるようになる。現在では石川県小松市から産出される綸子が,小松綸子の名で著名であるが,京都府京丹後市,および新潟県五泉市でも製織されている。
緞子(どんす)
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「綸子」の意味・わかりやすい解説

綸子【りんず】

絹の紋織物。経緯(たてよこ)とも生糸を用い,普通,繻子(しゅす)組織の地織に裏繻子で紋様を織り出す。縮緬(ちりめん)に繻子組織で紋様を出した綸子縮緬,駒撚(こまより)糸による駒綸子などもある。光沢に富む格調高い織物で,白無地は式服(白無垢(むく))とし,色無地染,友禅染などは振袖(ふりそで),訪問着,紋付などとする。最近は化繊,合繊などもある。
→関連項目ちりめん(縮緬)

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「綸子」の意味・わかりやすい解説

綸子
りんず

白絹の紋織物。経糸(たていと)・緯糸(よこいと)に無撚(よ)りの生糸を使用し、表朱子(しゅす)と裏朱子による昼夜組織によって柄模様をつくる。石川県小松地方が主産地であり、主として白生地(きじ)のまま、女性礼服の白無垢(むく)や、裏地に使われる。経糸は21デニール2本引きそろえ生糸使い、緯糸は21デニール3本引きそろえ生糸使いが多く、柄出しはジャカード機を使って生産する。また、強撚糸(ねんし)を使った綸子縮緬(ちりめん)もある。

[並木 覚]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「綸子」の意味・わかりやすい解説

綸子
りんず

紋織の染生地の一つ。5枚または8枚綜絖 (そうこう) の繻子 (しゅす) 組織 (→サテン ) に,裏繻子で紋様を表し,製織後に精練したもの。経糸が長く浮いて光沢が美しく,光線の具合で紋様が見え隠れする。慶長年間 (1596~1615) ,中国の技法をまねて西陣で織り始められた。近来,振袖や訪問着に用いられ,京都府丹後,石川県小松,新潟県五泉などで生産されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

普及版 字通 「綸子」の読み・字形・画数・意味

【綸子】りんず

光沢のある絹の綾織物。りんず。

字通「綸」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の綸子の言及

【着物】より

…ことに江戸時代初期のころは,はっきり区別され,支配者である武士社会の内部でも将軍,大名から下士,若党にいたるまで数多くの段階にわかれ,町人社会も大店(おおだな)の主人と番頭と手代,職人は棟梁(とうりよう)と弟子,農民は地主と自作と小作など,それぞれ服装に相違があった。たとえば白無垢(しろむく)の肌着は四位以上,それも大名は嫡男とかぎられ,熨斗目(のしめ)(腰に横縞または縦横縞のあるもの)は身分ある武士の式服であり,綸子(りんず)は一般武士には許されないなどである。地質(じしつ)の順位は綸子,羽二重(はぶたえ),竜文絹,二子(ふたこ)絹,紬(つむぎ)の順で,以下,麻および木綿となる。…

※「綸子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android