紫苑(読み)シオン

デジタル大辞泉 「紫苑」の意味・読み・例文・類語

し‐おん〔‐ヲン〕【紫×苑/紫×菀】

キク科の多年草。山間の草地自生し、高さ1.5~2メートル。根際に大きな葉が群生。秋、多数淡紫色の花を開く。漢方で根を乾かしてせき止めの薬にする。栽培もされる。鬼の醜草しこぐさ 秋》「―咲き静かなる日の過ぎやすし/秋桜子
紫苑色」の略。

し‐おに〔‐ヲニ〕【紫×苑/紫×菀】

《「おん(苑)」の「ん」を「に」で表記したもの》「しおん(紫苑)」に同じ。
「うれしきこと有らん人は―を植ゑて常に見るべし」〈今昔・三一・二七〉

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精選版 日本国語大辞典 「紫苑」の意味・読み・例文・類語

し‐おん‥ヲン【紫苑・紫菀】

  1. 〘 名詞 〙
  2. キク科の多年草。シベリア・モンゴル・中国・朝鮮などに分布。日本では中国地方と九州の山地草原に自生。高さ一~二メートル。根ぎわに束生する葉は長楕円形で基部は柄に流れ、長さ約三〇センチメートル、茎につく葉は上部へ行くに従って無柄となり、披針形から線形となる。いずれもまばらに粗毛があり、縁に鋭い鋸歯(きょし)がある。茎は上部で多く分枝して、秋に、径約三センチメートルの淡紫色の頭花を多数つける。中心の管状花は黄色。冠毛は白色。根を煎(せん)じて鎮咳(ちんがい)薬に用いる。おにのしこぐさ。おもいぐさ。しおに。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「紫苑といへる草こそ心におぼゆる事は忘られざなれとて、紫苑を塚のほとりに植ゑてみければ」(出典:俊頼髄脳(1115頃))
  3. しおんいろ(紫苑色)」の略。
    1. [初出の実例]「八九人ばかり、朽葉の唐衣、薄色の裳に、しをん、萩など、をかしうて居並(ゐな)みたりつるかな」(出典枕草子(10C終)一四三)

し‐おに‥ヲニ【紫苑・紫菀】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「おん(苑)」の韻尾の n を「に」で表記したもの ) =しおん(紫苑)
    1. [初出の実例]「しをに ふりはへていざふるさとの花みんとこしをにほひぞうつろひにける〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)物名・四四一)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「紫苑」の解説

紫苑 (シオン・シオニ)

学名Aster tataricus
植物。キク科の多年草,園芸植物,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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