経典外聖書(読み)きょうてんがいせいしょ(英語表記)Apocrypha; noncannonical writings

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「経典外聖書」の意味・わかりやすい解説

経典外聖書
きょうてんがいせいしょ
Apocrypha; noncannonical writings

外典あるいは単に外典ともいう。聖書正典 Canonに対する名称。旧約についていえば,正典表にはアレクサンドリア起源のものとパレスチナ起源のものと2種あり,前者は後者の含まない書をも含んでいるのでより長くなっている。カトリック教会および東方教会は前者を採用したが,後者に含まれていないものは,第2聖典として一応区別した。したがって現在カトリック教会の用いるラテン語訳には 13の外典つまり第2正典が含まれている。カトリックでは 1546年のトリエントの会議でアポクリファを正典に加えることを決議したが,一方プロテスタントでは 1618年のドルトの会議,43年のウェストミンスターの会議で反対の決議がなされた。 Apocryphaという語を初めて用いたのは初代教父オリゲネスといわれるが,現在の意味で正典と旧約外典を厳密に区別し,後者 libri ecclesiasticiに Apocryphaと命名したのはヒエロニムスである。新約外典について,Apocryphaと名づけたのはアタナシウスであり,アタナシウスは現行 27書を正典とし,ほかの文書を異端虚構として排した。しかし外典が,旧約,新約いずれにしてもその時代の歴史的環境や宗教思想,さまざまな問題を知るための重要な文献であることは疑いない。旧約外典には,『第1,第2マカベア書』『第1エズラ書』『集会書』『ベン・シラの知恵』『ソロモンの知恵』など,また新約には,多数福音書使徒行伝書簡黙示録詩歌が含まれている。

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