日本大百科全書(ニッポニカ) 「綾南」の意味・わかりやすい解説
綾南
りょうなん
香川県中部、綾歌郡(あやうたぐん)にあった旧町名(綾南町(ちょう))。現在は綾川町(あやがわちょう)の北部を占める一地区。1954年(昭和29)昭和、陶(すえ)、滝宮(たきのみや)、羽床(はゆか)の4村が合併して町制施行。2006年(平成18)綾上(あやかみ)町と合併、綾川町となる。高松琴平(ことひら)電鉄琴平線、国道32号、377号が通じる。町の南東部から北西部に流れる綾川に沿う低地と、起伏に富む小丘陵からなる町。典型的な溜池灌漑(ためいけかんがい)地域で、溜池の数も800に達する。1700年(元禄13)ころつくられた萱原用水(かやはらようすい)はこの地の発展の礎(いしずえ)となった。かつては水田地帯であったが、近年、高松市のベッドタウン化が進んでいる。現在では、米、麦中心の農業から、都市近郊農業としての施設園芸、果樹、野菜栽培のほか、ブタ、ニワトリ、肉用牛の飼養も取り入れた複合経営が行われ、供給地としての役割を果たすようになっている。とくに富有柿の特産地として有名。滝宮天満宮は国司であった菅原道真(すがわらのみちざね)を祀(まつ)り、雨乞(あまご)い祈願にちなむ滝宮の念仏踊(国の重要無形民俗文化財)がある。
[新見 治]
『『綾南町史』(1978・綾南町)』▽『『綾南町誌』(1998・綾南町)』