企業会計で、すでに支出した費用のうち、適正な期間損益計算を行うために資産として計上し、次期以降に繰り延べられた将来費用。その特定の支出により将来において発生する収益と対応させ、費用収益対応の原則の思考に基づき、
期間収益-期間費用=期間利益
の関係をもって繰り延べられる。繰延資産の特徴は、すでに支出が行われ、消費も済んでいる既発生の費用であるという点で、換金価値のあるその他一般の資産とは性質を異にする。このような資産をその性質から擬制資産とよぶ。したがって、諸外国では、英語(deferred cost)にも表れているように、繰延資産とよばず、繰延費用とよぶ。
日本の制度上の具体的な繰延資産項目には、創立費、開業費、株式交付費、社債発行費、開発費などがある。また、それらの償却に関する規定は、会社法や企業会計基準委員会「実務対応報告第19号――繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」に示されているが、換金価値がない資産である点から、比較的早期に償却することを是とする考え方により、原則として支出時に全額費用処理することが規定されている。繰延処理する場合も定められた償却期間、たとえば、創立費や開業費、開発費に関しては5年以内、株式交付費に関しては3年以内、社債発行費に関しては社債の償還期間というように、おおかた均等額以上での償却が求められている。
[近田典行]
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(小山明宏 学習院大学教授 / 2008年)
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…本来は費用もしくは収益としての性質をもつものであるが,期間損益計算のしくみのうえから,経過的に貸借対照表の資産項目もしくは負債項目として処理されたものをいう。 繰延資産は,ある支出が行われ,またそれによって役務の提供を受けたにもかかわらず,その支出の効果もしくは役務の有する効果が当該期間だけではなく,次期以降にわたると予想される場合に,次期以降の収益に合理的に負担させる費用として計算すべく繰り延べるために,経過的に貸借対照表の資産の部に計上したものである。商法には,とくに貸借対照表の資産の部に掲記することが認められているものとして,創立費,開業準備費,新株発行費,社債発行差金,社債発行費,開発費・試験研究費,建設利息の繰延資産が列挙されている(286条,286条ノ2~5,287条,291条)。…
…会計上,支出原価と費用計算の関係から,貨幣価値を有しないある種の支出項目を資産として認識することがある。たとえば,将来の収益獲得活動のために有効とみなされる繰延費用(繰延資産と呼ばれる)がこれで,このような支出は将来の用役または便益という形態で回収できるものとみなされている。資産を記録する金額は,通常,時価ではなく支出額,すなわち原価および次期以降に公正に配分される部分的な原価である。…
※「繰延資産」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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