繻珍(読み)シュチン

デジタル大辞泉 「繻珍」の意味・読み・例文・類語

シュチン(〈ポルトガル〉setim/〈オランダ〉satijin)

繻子しゅす地に2色以上の横糸を使って、模様を織り出した地質の厚い絹織物帯地袋物袈裟けさなどに使う。シチンシッチン
[補説]「繻珍」「朱珍」とも書く。また、唐音語「七糸緞しちんたん」の略ともいう。

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精選版 日本国語大辞典 「繻珍」の意味・読み・例文・類語

シュチン【繻珍・朱珍】

  1. 〘 名詞 〙 ( 中国語「七糸緞」からともいう ) 繻子(しゅす)地に絵緯(えぬき)紋様を浮織りした布地色糸を使い総地とする。主に帯地とし、袋物・袈裟(けさ)表装などに使う。繻珍織。シチン。シッチン。
    1. [初出の実例]「しゅちんか段子之道服」(出典:梅津政景日記‐元和五年(1619)三月一七日)

シュッチン【繻珍】

  1. 〘 名詞 〙 「シュチン(繻珍)」の変化した語。

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改訂新版 世界大百科事典 「繻珍」の意味・わかりやすい解説

繻珍 (しゅちん)

朱珍とも書く。繻子(しゆす)組織繻子)の地合いに多色緯糸を織り入れて文様をあらわした繻子地の。多色の色糸を用いることから〈七彩緞〉と書いて〈しゅちん〉と読ませた例もある。地を五枚繻子としたものが多いが,八枚繻子のものもある。また江戸時代のものはほとんど絵緯(えぬき)を浮かして織り出しているが,明治以降には搦み経(からみだて)(絵緯を押さえるための別経糸)を用いて,絵緯を押さえるものが一般的となっている。特に高級品には色糸とともに金糸が織り込まれる。日本では室町時代末に中国技法を学んで製織されたといわれ,繻子織の普及とともに織りはじめられた。繻子地合いの艶のある華やかさが珍重され,江戸初期には将軍家や上級社会の贈答品として用いられたが,中期以降になると一般の小袖や帯として活用された。幕末から明治にかけては,打掛や帯にも幅広く用いられたが,しだいに金銀糸の質が劣り,文様自体も小さく地味なものとなる。
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百科事典マイペディア 「繻珍」の意味・わかりやすい解説

繻珍【しゅちん】

朱珍とも書く。繻子(しゅす)組織の地に模様を織り出した絹織物。多色の緯糸(よこいと)を用いて華麗な模様を織る。室町時代中国の技法を学んでつくられ,江戸時代珍重された。光沢がありすべりがよく,打掛,帯,袋物などに用いられた。
→関連項目緞子西陣織

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「繻珍」の意味・わかりやすい解説

繻珍
しゅちん

朱珍とも記し,繻子組織の地に紋様を織り出した練り織物。7色以上の絵緯 (えぬき) 糸を用いて繻子や斜文組織で紋柄を表わしたところから,昔は七彩とも書いた。室町時代末に中国の技法を取入れるようになり,特に江戸時代初期に大いに珍重され上流社会の贈答品とされた。丸帯や羽織裏として用いる。

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