義務について(読み)ぎむについて(その他表記)De officiis

改訂新版 世界大百科事典 「義務について」の意味・わかりやすい解説

義務について (ぎむについて)
De officiis

ローマ弁論家政治家,哲学者キケロ倫理に関する最後著作(前44)。ストア哲学,なかんずくパナイティオスの教えに基づいて一般道徳を説いており,息子マルクスの教育のために書かれた。本書は《大カトー老年について》などと並んで中世を通じて広く読まれた。なお,キケロの政治家,弁論家としての著作が再発見されたのは,ルネサンスになってからのことである。
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関連語 平田

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「義務について」の意味・わかりやすい解説

義務について
ぎむについて
De officiis

ローマのキケロ哲学書。3巻。前 44年の作。息子マルクスにあてた手紙形式をとって,第1巻では基本的な四徳 (知恵正義勇気節度) とそれらから発する義務について論じ,続く2巻ではそれらを実際の人生にあてはめて,ギリシア・ローマの歴史から無数の実例をひいて説明。キケロの教訓はきわめて実際的で,人間の社会的性格と,同胞への博愛と,公的活動の必要を強調する。西ヨーロッパの「紳士」の概念は本書に発するとされる。

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