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翻訳劇 ほんやくげき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

翻訳劇
ほんやくげき

ある国語で書かれた戯曲を,ほかの国語に移し変えた劇の意。したがって,たとえば『シラノ・ド・ベルジュラック』を脚色した『白野弁十郎』のように,外国の戯曲の構成,人物,アイデアなどを借り,日本のある時代,人物に移して書き換えたものをいう「翻案劇」とは区別して用いられる。特に日本では新劇史の特殊性を反映して,欧米戯曲の日本語訳という意味の狭義に用いられる場合が多かった。明治の文芸協会,自由劇場シェークスピアイプセンなどの作品を移植することからその仕事を始めて以来,新劇運動初期の歴史は翻訳劇上演の歴史であったともいえる。言語,風俗習慣,国民性の違いからくる困難を伴いながらも翻訳劇の上演は多く,諸外国の文化や民族性などを知るプラスの面もある。

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世界大百科事典 第2版の解説

ほんやくげき【翻訳劇】

語義に従えば,戯曲の原語を自分たちの言葉に翻訳して上演する劇を指す。一般的には他国語を自国語に翻訳することだが,古代ギリシア語を近代ギリシア語に翻訳して,ギリシア古典劇を上演することが現代ギリシアにおいてしばしば行われているように,自国の古代語を近代語に翻訳することもある。また中国のような多民族国家において,他民族・他地域語を自民族・自地域語に翻訳上演する場合も,翻訳劇といえる。つまり,演劇は俳優による言語の肉体化が前提となる以上,俳優および観衆にとっていちばん真実感のある言語表現が他の文学作品の場合以上に要求される。

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世界大百科事典内の翻訳劇の言及

【新劇】より

… 文芸協会,自由劇場に刺激され,新派の井上正夫も10年に〈新時代劇協会〉を発足させ,また同じ年に新帰朝の劇作家中村吉蔵を中心に〈新社会劇団〉なども誕生した。明治末期から関東大震災にいたるまでは,数多くの新劇団の消長があり,演劇的には未成熟と思われる,翻訳劇の単なる作品紹介的な上演活動が展開された。たとえば,逍遥邸の演劇研究所設立以降の後期文芸協会にしても,上演9演目中,シェークスピア劇3演目を含む7演目が外国戯曲であったし,自由劇場上演15演目中,9演目が西欧近代戯曲であった。…

※「翻訳劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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