六訂版 家庭医学大全科 「老人性外陰炎」の解説
老人性(萎縮性)外陰炎
ろうじんせい(いしゅくせい)がいいんえん
Senile (atrophic) vulvitis
(女性の病気と妊娠・出産)
どんな病気か
閉経後の人や高齢者において、女性ホルモン(卵巣ホルモン)が低下することにより、腟の自浄作用の低下、腟の粘膜や外陰部の皮膚の萎縮がみられるようになります。一般的には腟炎が病変の主体(老人性腟炎)であり、外陰部に単独で炎症がみられることはほとんどありません。
原因は何か
閉経後、エストロゲンという卵巣ホルモンの分泌が低下することにより、腟の粘膜は萎縮し、
症状の現れ方
外陰部の
検査と診断
内診により、外陰・腟粘膜の状態を観察します。症状や腟粘膜の出血斑などが参考になります。腟分泌物の細菌培養検査により、感染を伴った外陰・腟炎を区別することが可能です。また、腟の出血がある時などは、子宮がん検査(細胞診)も有用です。
治療の方法
エストロゲン製剤の内服(エストリール錠、プレマリン錠)、もしくは腟坐薬(ホーリン腟錠、エストリール腟錠)が有効です。5~7日間で多くは改善がみられます。外陰部の炎症に対しては、抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイド薬の軟膏も用いられます。症状がない時には、薬剤を使用しないこともあります。
織田 克利
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報