六訂版 家庭医学大全科 「老年期の心」の解説
老年期の心
ろうねんきのこころ
Mental characteristics of the elderly
(お年寄りの病気)
老化に伴う心の変化を知能、人格・心理的側面からみると、以下のようにまとめられます。
①知能
かつては年をとると知能が衰えると考えられていました。しかし現在では、知能は20代以降も発達し続け、少なくとも80歳くらいまでは社会生活に必要、かつ十分な機能が維持できることが証明されています。
高齢者でとくに問題になるのは
人の知能は
高齢者でも結晶性知能にますます磨きがかかり、各分野でリーダーとして活躍している人が大勢います。高齢者のなかには知的資産家とも呼ぶべき、若い人とは異質の知能をもった人が大勢いるのです。
②人格・心理的側面
昔から高齢者の性格の特徴として、がんこ、利己的、愚痴っぽい、疑い深い、心気的(いらいらしがち)であるなどがあげられています。しかし、従来いわれてきたがんこさは認知症によることが多く、また抑うつ傾向はうつ病によるものと考えられており、このような病的状態でみられる特徴と、正常な高齢者の人格の変化が混同されている場合が多くあります。
人の人格は成人期~老年期を通じて比較的安定していて、青年期までにつくり上げられた人格の基本的な部分は変わらず、加齢的変化よりも世代の違いや性差の影響のほうが大きいといわれています。
60歳以上の人で多く認められる性格としては、保守性、あきらめ、義理堅さ、依存的などで、従来多いとされていた
折茂 肇
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報