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オリンピック大会の開会式典を飾る儀式の一つ。古代オリュンピア祭の〈たいまつ競走〉の故事にならい,聖火は聖地オリュンピア(ギリシア)で,古代ギリシアの巫女(みこ)に扮した女性により採火される。開会式典でメーンスタジアムの聖火台に点火され,大会の終了まで燃え続ける。この儀式は平和と人類愛をうたうオリンピック理念を象徴するものといわれている。リレー方式が最初に採用されたのは,1936年の第11回ベルリン大会で,聖火コースの設定が当時ナチス政権による〈軍事目的の実地調査〉との批判があった。第18回東京大会(1964)では北と南から日本中を駆けめぐる大がかりな聖火リレーが行われ,オリンピックムードを盛りあげた。第21回モントリオール大会(1976)では聖火が電波信号に変えられて,宇宙衛星中継により一瞬のうちに運ばれた。冬季オリンピック大会でも64年の第9回インスブルック大会から,オリュンピアで点火したものをリレーするようになった。
執筆者:広畑 成志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…36年,ヒトラー政権下のベルリンで開かれた第11回大会で,ナチ政府は競技場に〈ハーケンクロイツ(かぎ十字)〉の党旗を初めて公式の国旗として掲げるなど政治色が濃かったが,IOCはオリンピック大会の主催権がIOCにあることを主張して,ユダヤ人排斥の宣伝物を会場周辺から撤去させるなど,極力政治的干渉に抵抗し,オリンピック運動の独自性確保に成功した。聖火リレー,聖火台(1936),3段の表彰台(1932)など,のちにIOCで規定される式典様式はこの大会で創始されたものが多く,オリンピック大会の規模と形式は,ロサンゼルスとベルリンの両大会から決定的な影響を受けた。IOCが記録映画をつくるようになったのもベルリン大会からであり,L.リーフェンシュタールの《民族の祭典》と《美の祭典》(ともに1938)はベネチア映画祭で金賞を受賞。…
※「聖火リレー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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