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聴空間 ちょうくうかん auditory space

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

聴空間
ちょうくうかん
auditory space

聴覚を通して行われる方向や距離などの弁別,認知 (すなわち,音定位) に基づいて成立した空間。空間知覚に対する聴覚の役割は,視覚健常者においては視覚ほど大きくないが,先天的な視覚障害者の場合には,健常者には聞えない小さな音でも知覚できるくらい聴空間の範囲が広く,より緻密になる。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

聴空間
ちょうくうかん
auditory space

両耳を通して知覚できる空間のことで、音源の方向、距離を判断する音源定位sound localizationがもとになっている。[西本武彦]

方向の知覚

方向の定位は左右の耳に到達する音のわずかな時間差と強度差を手掛りとして行われている。聴き手正面に対して角度θの方向から音波が到来したとき、両耳間隔をl、その中点から音源までの距離をrとすれば両耳への到達距離の差dはlsinθである。したがって音速をc、波長をλとすれば両耳への時間差Δt、位相差Δ、強度差ΔIは次のようになる。

 実際は頭による遮蔽(しゃへい)、回折、耳介、外耳道の長さによってさらに複雑になる。[西本武彦]
音源の方向の弁別
音の前後方向の判断は誤りやすい。純音では3キロヘルツ以下の中・低域で、雑音では8キロヘルツ以下で誤りが多い。変化に対する弁別は正面方向がもっとも鋭く、周波数が500~700キロヘルツの純音でわずか一度の変化を弁別できる。真横近くの音源に対しては、弁別が非常に悪い。しかし日常生活においては、頭を動かして前後を確認したり、長い間の学習に基づいた判断をしているので誤りは少ない。[西本武彦]

時間と強さの交互作用

ステレオヘッドホンで音を聴くと、後頭部周辺あるいは頭内に音像が生じる。これを音像定位lateralizationという。両耳の音に時間差や強度差を与えると音像が移動するが、時間差によって偏った音像でも反対側の耳に与える音のレベルをあげるとふたたび音像が中央に移動する。こうした両耳間の時間差と両耳間のレベル差の相互作用を、時間と強さの交互作用time-intensity tradingという。[西本武彦]
ステレオ効果
ステレオ再生では左右別々のスピーカーの音は一つに融合し、中間位置に虚の音像を形成する。二つのスピーカー音の間に1~30ミリ秒の差をつけたとき、早く耳に到達する音を出しているスピーカーに音像が結ぶ現象をハース効果Haas effectという。[西本武彦]
両耳ビート
binaural beat周波数の接近した二つの純音を同時に聴くとビート(うなり)が生じる。1500ヘルツ以上の純音ではビート音は聴こえず、500ヘルツ以下ではよく聴こえる。[西本武彦]
カクテル・パーティー効果
大ぜいの人の声のなかでも、注意を向けた相手の話は聴き取れる。これは両耳効果というより、われわれがもつ高度のパターン認識の働きである。[西本武彦]
音の距離知覚
音源の距離判断は、音の大きさ、周波数とスペクトルによる音質の変化、直接音と残響音の比、さらに両耳間のレベル差・時間差などを総合した経験的知識がもとになっている。なお、会話音声の距離判断は正確であるが、ささやき声や叫び声はそれぞれ過小評価、過大評価される。また、正面方向の距離判断は悪い。[西本武彦]
『境久雄他著『聴覚と音響心理』(日本音響学会編『音響工学講座6』所収・1978・コロナ社)』

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