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肺魚 ハイギョ

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デジタル大辞泉の解説

はい‐ぎょ【肺魚】

硬骨魚綱肺魚亜綱または肺魚目に分類される淡水魚の総称。体はウナギ形で、体長50センチ~1.5メートル。えらのほかに、浮き袋の発達した肺のような組織をもち、空気呼吸もできる。胸びれ・腹びれは鞭(むち)状またはオール状。肉食性。古生代末から中生代に栄えたが、現生種はオーストラリアネオセラトダス南アメリカレピドシレンアフリカプロトプテルスなど6種が知られる。

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大辞林 第三版の解説

はいぎょ【肺魚】

硬骨魚綱肺魚亜綱に属する淡水魚の総称。全長40~180センチメートル。体は細長く、胸びれと腹びれはむち状または葉状。鰾うきぶくろに相当する器官が肺のような構造となり、乾季には空気呼吸をする。古生代中期から中生代にかけて栄えた。原始的な形質をそなえ、現在はオーストラリア・南アメリカ・アフリカの三大陸に数種が分布。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

肺魚
はいぎょ
lungfish

肺呼吸をする一群の硬骨魚類の総称で、分類学的には一般に亜綱ないし目(もく)の分類単位にまとめられている。現生種は数少なく、「生きている化石」として魚類や高等脊椎(せきつい)動物の進化の研究上重要である。[多紀保彦]

形態と系統

肺魚類は、四足脊椎動物と同様に口腔(こうこう)に通じる内鼻孔(ないびこう)をもつこと、うきぶくろと消化管を連絡する気道が食道の下側に開口すること、対鰭(ついき)(胸びれと腹びれ)が原鰭(げんき)という肢(し)状の構造をもつこと、脊椎に椎体を欠くといったような骨格の特徴から、イワシ、スズキなどの一般の硬骨魚(条鰭類)とは体制が大きく異なっており、総鰭類(シーラカンスの類)と共通性を示す。しかし、上顎(じょうがく)や頭蓋骨(とうがいこつ)の特徴、特殊な歯板をもつこと、総排出孔をもつことなどで総鰭類とも異なっている。これらから、肺魚は総鰭類と同様に魚類進化の早い段階で条鰭類に向かう系統から枝分れしたものと考えられ、サメ類との共通性も残している。両生類は総鰭類の系統から進化したものと一般に考えられているが、両生類と肺魚類の間で心臓その他の血液循環系、初期発生、一部の骨格に共通性がみられるところから、肺魚類を両生類の祖先型とする学説もある。[多紀保彦]

分類と分布

肺魚類の化石種は、古生代前期以降から多数が知られており、現生種の直接の祖先型と考えられるものは中生代初期以降出現している。化石種はほぼ全世界に出現し、おそらくすべてが淡水産である。初期の肺魚は2基の背びれをもち、背びれ、尾びれ、臀(しり)びれは互いに分離し、体は体高が比較的高くコスミン鱗(りん)で覆われていた。その後、前述のひれは連続した1枚のひれとなり、現生種では体が細長くなると同時に鱗(うろこ)は円鱗に変化しており、また1種を除き対鰭が細い鞭(むち)状に特殊化している。現生種には、オーストラリア産のネオケラトドゥス属Neoceratodusの1種とアフリカ産のプロトプテルス属Protopterusの4種、南アメリカ産のレピドシレン属Lepidosirenの1種の計3属6種があり、3属はそれぞれ別科に分類されている。形態的にはネオケラトドゥスがもっとも化石種に似ていて原始的、レピドシレンがもっとも特化している。現生種もすべて淡水産であり、3大陸に分かれた現在の分布は、過去、大陸が一つにまとまっていたころの汎(はん)世界的な分布の名残(なごり)(遺存的分布)と考えられる。[多紀保彦]

呼吸と血液循環

現生肺魚のうきぶくろは、左右の2室に分かれている(プロトプテルスとレピドシレン)か、あるいは対をなさずに左右にくびれており(ネオケラトドゥス)、内面には胞状構造がよく発達して血管が密に分布し、肺の形状を備えている。肺魚はこの肺を用いて空気呼吸を行うが、同時に種々の程度のえら呼吸も行っている。肺呼吸への依存度はプロトプテルスとレピドシレンで高く、これらの種類は肺呼吸のみでの生存は可能であるが、えら呼吸のみでは不可能である。ネオケラトドゥスではえら呼吸の比率が高く、えら呼吸のみでの生存は可能であるが、肺呼吸のみでは不可能である。また、前二者は幼期に両生類と同様の外鰓(がいさい)がある。肺魚類は血液循環系でも条鰭類とは異なっている。条鰭類の循環系は心臓→えら→全身→心臓と一巡する単純回路であるが、肺魚ではこの回路のほかに心臓→えら→肺→心臓という回路があり、また心房と心室を左右に分ける不完全な中隔があって、肺からの血液と静脈血の混合がある程度防がれている。肺魚の循環系は、体循環と肺循環に分かれた四足動物の循環系への移行型といえよう。形態と同様に心臓の構造と肺呼吸の面でもネオケラトドゥスがもっとも原始的である。[多紀保彦]

休眠

プロトプテルスとレピドシレンは、乾期に水がなくなると泥中に穴を掘って潜り込み、休眠(夏眠)する。プロトプテルスでは空気孔を残して泥で穴の入口をふさぎ、体表から分泌する粘液で泥を固めて薄く固い繭をつくり、体を包む。休眠中はもっぱら空気呼吸に頼り、物質代謝を低くする。排出物中の水分は腎臓(じんぞう)で分離されてふたたび利用され、尿素は腎臓中に高濃度に蓄積される。ネオケラトドゥスは休眠しない。[多紀保彦]

現生種の分布と生態

(1)オーストラリア産肺魚 ネオケラトドゥス・フォルステリNeoceratodus forsteriは、クイーンズランドのバーネット川とメリー川の原産。全長1.8メートルに達する。水草中に直径8~10ミリメートルの卵を産み、30~40日で全長約12ミリメートルの仔魚(しぎょ)が孵化(ふか)する。生息量が少なく、オーストラリア政府によって保護されるとともに、ワシントン条約で国際取引が規制されている。
(2)アフリカ産肺魚 プロトプテルス属の4種がある。プロトプテルス・アンフィビウスProtopterus amphibiusは、ザンベジ川からソマリアに至る東アフリカ産で全長約40センチメートル、外鰓が長期間消失しない。プロトプテルス・アネクテンスP. annectensは、2亜種に分類され、西アフリカ一帯からコンゴ川、ザンベジ川流域に分布する。全長約90センチメートル。プロトプテルス・エティオピクスP. aethiopicusは、3亜種を含む。東アフリカからコンゴ川流域に分布し、ビクトリア湖には大量に生息する。全長約1.5メートル。プロトプテルス・ドロイP. dolloiは、コンゴ川流域を中心とするアフリカ赤道部に生息し、全長約85センチメートルになる。プロトプテルス類は、雨期に水草の茂った水底に穴を掘って直径5~6ミリメートルの卵を産卵する。雄親が卵を保護し、尾部であおいで新鮮な水を卵に送る。孵化仔魚は、のどの部分にある粘質の付着器官で巣穴の壁などにぶら下がり、1~2か月で遊泳を開始する。プロトプテルス類はいずれもかなり攻撃性の強い魚である。
(3)南アメリカ産肺魚 レピドシレン・パラドクサLepidosiren paradoxaは、アマゾン川、パラグアイ川流域に分布し、全長1メートルに達する。性質は温和。産卵期は雨期の初めで、プロトプテルスと同じく泥に穴を掘って産卵し、雄が卵の保護をする。孵化仔魚にはやはり付着器官がある。[多紀保彦]

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