改訂新版 世界大百科事典 「コクチョウ」の意味・わかりやすい解説
コクチョウ (黒鳥)
black swan
Cygnus atratus
カモ目カモ科の大型の水鳥。全長115~140cm。名のように羽色が黒いが,初列風切の全部と次列風切の一部は白色。くちばしは赤色,あるいはオレンジ色で先端に白帯があり,虹彩は赤く,足は黒い。体重は雄が平均6.3kg,雌は平均5.1kg。ハクチョウ属6種のうちの1種で各地に輸入されているが,原産地はオーストラリアの南東部と南西部とタスマニア島。留鳥だが,多少の季節的な移動はする。ニュージーランドにも移入され,自然状態で多数生息する。淡水,あるいは半塩水性の大きな湖沼に群れをつくってすみ,水生植物をおもに食べる。繁殖期はオーストラリアの雨季で,クイーンズランドで2~5月,西部で6~8月である。ふつう1腹5~6個の卵を産む。卵の大きさは長径約11.5cm,重量約300gで,色は淡い緑色。雌雄交代で約40日抱卵する。雛の成長は遅く,風切羽が完全にのびるまでに140~180日を要する。飼育は容易で,世界中の動物園や公園でふつうに繁殖している。
執筆者:柿沢 亮三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報