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臍帯血幹細胞移植 さいたいけつかんさいぼういしょくcord blood stem cell transplantation

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

臍帯血幹細胞移植
さいたいけつかんさいぼういしょく
cord blood stem cell transplantation

胎盤から臍帯血cord blood(CB)を集め、これを用い造血幹細胞移植を行うことを臍帯血幹細胞移植(略称CBSCT)という。
 1980年代から、臍帯血の中に多くの造血幹細胞が存在することが報告され、造血幹細胞移植の細胞源として注目されるようになった。そして、1988年にフランスでファンコニー貧血(遺伝性の小児再生不良性貧血)の5歳の小児に対し最初の臍帯血幹細胞移植が実際に行われ成功し、臍帯血が造血幹細胞移植に応用できることが証明された。
 その後、患者に広く臍帯血幹細胞を提供するために、臍帯血バンクが設立されるようになった。あらかじめ同意を得た妊婦から分娩(ぶんべん)後の胎盤を提供してもらい、胎盤から出ている臍帯の血管から臍帯血を採取し凍結保存し、必要なときに患者に提供する。日本においては1995年(平成7)に初めて臍帯血バンクが設立され、1999年には全国規模の「日本さい帯血バンクネットワーク」が発足し、日本各地のさい帯血バンクを結ぶネットワークが構築されている。
 臍帯血移植の特長は、提供者への影響がないということである。本来ならば廃棄される胎盤から造血幹細胞を採取するので、母親にも新生児にもまったく負担はかからない。また、臍帯血幹細胞は骨髄幹細胞や末梢血(まっしょうけつ)幹細胞に比較して、未分化な細胞を多く含んでいるので比較的少量でも造血を回復させることができる。ただし、造血回復の速度が骨髄移植や末梢血幹細胞移植の場合に比べ遅い問題点もある。一方、リンパ球などの免疫細胞も未熟なのでヒト白血球抗原human leukocyte antigen(HLA)が一致しなくても有害な免疫反応がおこりにくい特徴もある。このためより多くの患者に利用できるという利点があり、臍帯血幹細胞移植例は増加しつつある。[比留間潔]
『原田実根・加藤俊一・薗田精昭編『新しい造血幹細胞移植――末梢血幹細胞移植(PBSCT)・臍帯血移植(CBSCT)・CD34陽性細胞移植・ドナーリンパ球輸注療法(DLT)』(1998・南江堂) ▽広田豊・原宏編『血液成分治療――細胞療法の夜明けから臨床医療への応用』(2004・医薬ジャーナル社) ▽森下剛久・堀部敬三・森島泰雄他編『造血細胞移植マニュアル』第3版改訂新版(2004・日本医学館) ▽原宏編著『臍帯血移植』(2006・新興医学出版社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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