HLA(読み)えいちえるえー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「HLA」の意味・わかりやすい解説

HLA
えいちえるえー

ヒト白血球抗原。human leukocyte antigenの略である。ヒト組織適合性白血球抗原human histocompatibility leukocyte antigenともよばれる。HLAのAはantigenの略で抗原の意味であるが、一般にHLA抗原とよぶことが多く、英文もHLA antigenと表記する。外から侵入する病原微生物などを自己と異なる非自己として認識し(免疫応答)、区別する目印となるのが抗原で、組織適合性抗原は個体ごとに特有の免疫学的自己を決定づけている。

 白血球をはじめ全身の細胞にはそれぞれ赤血球血液型に相当するHLA型があり、輸血の際に赤血球のA、B、AB、Oの血液型の一致が重要であるように、これが一致しないと臓器移植で拒絶反応が起こる。

 HLA型には多くのタイプがあるが、自分のタイプを知れば糖尿病、甲状腺(せん)炎、ベーチェット病潰瘍(かいよう)性大腸炎、ナルコレプシーなど、かかりやすい病気を知ることができる。また、がん治療の効果を高めるために、特定のHLA型に効くよう開発されたワクチンを用いる「がんワクチン療法」もある。

[編集部 2017年4月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「HLA」の意味・わかりやすい解説

HLA
エイチエルエー
human leucocyte antigen

ヒト白血球抗原。本来は臓器移植の成否に関連して研究されてきたものであるが,多数遺伝子が関与しており,個体変異が著しいばかりでなく,各集団でかなりの差異が認められたため,人類学にも応用されるようになった。 HLA遺伝子群の組合せなかには,人類集団の起源解明に役立つものがあり,日本人にみられるいくつかの特徴的な組合せを追究することによって,日本人の系統が北東アジアと東南アジアの両方にたどられることなどが明らかにされている。

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