自負と偏見(読み)じふとへんけん(その他表記)Pride and Prejudice

精選版 日本国語大辞典 「自負と偏見」の意味・読み・例文・類語

じふとへんけん【自負と偏見】

  1. ( 原題[英語] Pride and Prejudice ) 長編小説。ジェーン=オースチン作。一七九六年完成。田舎紳士ベネット家の娘エリザベスと、その求婚者たちの結婚問題と遺産相続問題をからませながら、自尊心偏見が、物事のなりゆきに影響を及ぼす過程を描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「自負と偏見」の意味・わかりやすい解説

自負と偏見
じふとへんけん
Pride and Prejudice

イギリスの作家ジェーン・オースティンの長編小説。1813年刊。作者が若いころに書いた小説『第一印象』を徹底的に書き直したものといわれる。主人公エリザベス・ベネットは5姉妹の2番目で、姉妹中もっとも聡明(そうめい)で知的である。近所に引っ越してきた若い紳士ビングリーは、温順な姉ジェーンと親しくなり、彼の友人で自負心に満ちた名門の紳士ダーシーはエリザベスに求婚する。しかし第一印象から彼女はダーシーに偏見を抱くが、彼を訪問し人柄に触れるうちその偏見はしだいに薄れ、一方彼の自負心も和らぎ、2人はめでたく結ばれる。姉妹の愚かな母親ベネット夫人や、主人公に求婚する牧師コリンズ氏ら喜劇的人物脇役(わきやく)がこの小説に明るいユーモアの効果を添えている。夏目漱石(そうせき)は「則天去私」の作品例として、この作品を推している。

榎本 太]

『中野好夫訳『自負と偏見』(新潮文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自負と偏見」の意味・わかりやすい解説

自負と偏見
じふとへんけん
Pride and Prejudice

イギリスの女流作家 J.オースティンの小説。『第一印象』と題する初稿が 1796~97年に書かれたが出版できず,手を加えて 1813年刊。田舎の中産階級一家の娘たちの結婚問題をめぐって,社交や恋愛にからまる男の自負心や女の偏見など,さまざまな心理のもつれが織りなすあやを繊細的確な筆致で描く。主人公の2組の男女ばかりでなく,脇役の人物もそれぞれに活写されている。「田舎の三,四軒の家族が格好の題材となる」と著者自身述べているように,日常のささやかな事件をもとにしたイギリス小説ならではの風習喜劇の傑作である。

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