船坂村(読み)ふなさかむら

日本歴史地名大系 「船坂村」の解説

船坂村
ふなさかむら

[現在地名]西宮市山口町船坂やまぐちちようふなさか

生瀬なまぜ村の西、六甲ろつこう山の北側中腹に位置する有馬ありま郡の村。生瀬村から太多田おたた川沿いに西に入る有馬街道は、集落西端で金仙寺きんせんじ道を分岐。金仙寺道は船坂川沿いに上山口かみやまぐち村へと向かう。有馬街道は古くより京・大坂から有馬温泉(現神戸市北区)への湯治客がよく利用した道で、温泉中興の仁西が当地に湯槽を造ったことから、村名が付けられたという(摂津名所図会)瑞渓周鳳の享徳元年(一四五二)の「温泉行記」にすでに村名がみえる。また文明一五年(一四八三)有馬に赴いた蓮如は往復とも船坂を通っており、復路では色づき始めた紅葉の美しさを愛でている(有馬道の記)

慶長国絵図には東船坂・船坂二村の名がみえ、村高は一括して二三五石余。


船坂村
ふなさかむら

[現在地名]園部町船坂

黒田くろだ村の西に位置し、南は大坪おおつぼ西山にしやま両村(大西村)下新江しもにえ村、西から北にかけては北八田きたはつたつじ(現丹波町)。村の南東部で北流する本梅ほんめ川が園部川に合流し、この部分に耕作地が開け集落も集中している。東流する園部川に沿って篠山街道が通り、分水界をなす山地中山なかやま峠で越えて北八田の諸村(現丹波町)に通じる。

室町時代、船坂村は北野きたの社領船井庄の一村であった。「北野社家日記」長享三年(一四八九)五月二六日条に載る舟井庄十一村闕所分目録に「舟坂村内門介一類」と記される。江戸時代は園部藩領。


船坂村
ふなさかむら

[現在地名]上郡町なしはら

安室宿やすむろしゆく村の西、梨ヶ原川上流域に位置する。山陽道の難所船坂峠の南西麓の村で、間の宿であった。中世梨原なしがはらと称し、近世にも安室宿村と当村の惣名を梨原村と称した(伊能忠敬測量日記)。舟坂とも記す。江戸時代の領主変遷下栗原しもくりばら村に同じ。正保郷帳では田高五八石余・畠高五五石余。宝永三年(一七〇六)の名村組指出帳(花岳寺文書)によれば、高一四五石余・反別一三町七反余、家数四一・人数二三〇、牛一七・馬二、権現宮・王子宮・荒神(三社)・地蔵などがある。


船坂村
ふなさかむら

[現在地名]吉備町船坂

かしこ村の東、有田川北岸に位置し、三方を山に囲まれる。「続風土記」は「村三ツに分れ東北二三町にあるを芋谷といひ、其東北四五町にあるを段といひ、村より長谷村に往来する坂を船坂といふ、坂の形船に似たるを以てなり、是より村名は起れるなるへし」と記す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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