歌舞伎狂言。世話物。3幕。通称《鋳掛松(いかけまつ)》。河竹黙阿弥作。1866年(慶応2)2月江戸守田座初演。鋳掛屋松五郎を4世市川小団次,文蔵妾お咲のちに鋳掛松女房を2世尾上菊次郎,島屋文蔵実は梵字の真五郎を3世関三十郎,森戸屋宗次郎を4世助高屋高助,お組を5世坂東三津五郎ほか。人情物の講談から取材した作で,黙阿弥一流のいわゆる白浪物の一つ。鋳掛職人の松五郎は,仕事の途中両国橋を通りかかる。折から川に浮かぶ遊山船から派手に遊ぶ騒ぎがきこえ,その情景をみているうち,金さえあれば遊んで暮らせると急に宗旨替えをし,仕事道具を川の中へ投げこんで悪の道に入る。盗賊となった松五郎はある夜押し入った妾宅で昔馴染みのお咲と会う。この家の主人島屋文蔵は実は盗賊で,松五郎とは兄弟とわかる。やがて松五郎はお尋ね者として追われる身となるが,かつて恩人森戸屋宗次郎を救うために恵んだ金が公金(極印金)であったので,恩返しがかえって仇となって宗次郎が牢へ入れられたと知り,切腹して罪を詫び宗次郎を牢から救う。序幕の〈両国橋〉での変心の心理と演技が見せ場で,幕末の虚無的,刹那的な気分とあいまって好評であった。
執筆者:林 京平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新