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白浪物 シラナミモノ

世界大百科事典 第2版の解説

しらなみもの【白浪物】

歌舞伎,講談などの作品の一系統。白浪とは盗賊異名で,後漢の末,黄巾賊の余党が西河の白波谷に隠れて,財宝略奪を事としたのを,時の人が白波賊と呼んだ故事からきており,盗賊を主人公とする。幕末の講釈師松林伯円(しようりんはくえん)がこの種の講談を得意としてしきりに口演し,時流に乗って人気を博して,世に〈泥棒伯円〉と称された。これを歌舞伎にとりこんだのが河竹黙阿弥である。黙阿弥は提携した4世市川小団次の柄(がら)や芸風に合わせて,1854年(安政1)の《都鳥廓白浪(みやこどりながれのしらなみ)》をはじめ《鼠小紋東君新形(ねずみこもんはるのしんがた)》《網模様灯籠菊桐(あみもようとうろのきくきり)》《小袖曾我薊色縫(こそでそがあざみのいろぬい)》《三人吉三廓初買(さんにんきちさくるわのはつがい)》《勧善懲悪覗機関(かんぜんちようあくのぞきがらくり)》《船打込橋間白浪(ふねへうちこむはしまのしらなみ)》など,傑作・佳作を続々と書いて白浪作者の異名を得,小団次も白浪役者と呼ばれた。

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大辞林 第三版の解説

しらなみもの【白浪物】

盗賊を主人公とする歌舞伎・講釈などの称。歌舞伎の河竹黙阿弥、講釈の二代目松林しようりん伯円はその代表的作者。「三人吉三」「白浪五人男」「鼠小僧」など。

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世界大百科事典内の白浪物の言及

【青砥稿花紅彩画】より

…1862年(文久2)3月江戸市村座で,弁天小僧を13世市村羽左衛門(後の5世尾上菊五郎),日本駄右衛門を3世関三十郎,南郷力丸を4世中村芝翫(しかん)らが初演。3世歌川豊国の役者見立絵にヒントを得て,在来の日本駄右衛門らの人名をつかい,青砥藤綱をからませた白浪物。序幕鎌倉初瀬寺(はせでら)と2幕目御輿ヶ岳(みこしがたけ)では,弁天小僧菊之助,南郷力丸,忠信利平,赤星十三郎が日本駄右衛門を首領とする五人組盗賊団をつくる経緯が描かれるが,眼目は3幕目〈浜松屋の場〉以下。…

【河竹黙阿弥】より

…この期には団十郎のための《難有御江戸景清(ありがたやめぐみのかげきよ)》(1850),柳下亭種員の合巻を脚色した《児雷也豪傑譚話》(1852)などがある。 第2期は54年(安政1)から66年(慶応2)までの10余年間で,名人といわれた幕末の代表的役者4世市川小団次と組み,生世話狂言とくに白浪物に本領を発揮,地位を確立した時代。その契機は《都鳥廓白浪》(1854)で,以下《蔦紅葉宇都谷峠》(1856),《網模様灯籠菊桐》(1857),《小袖曾我薊色縫(あざみのいろぬい)》(1859),《三人吉三廓初買》(1860),《八幡祭小望月賑(よみやのにぎわい)》(1860),《勧善懲悪覗機関(かんぜんちようあくのぞきがらくり)》(1862),《曾我綉俠御所染(そがもようたてしのごしよぞめ)》(1864),《船打込橋間白浪(ふねへうちこむはしまのしらなみ)》(1866)などを小団次のために書いた。…

※「白浪物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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