船舶衝突(読み)せんぱくしょうとつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「船舶衝突」の意味・わかりやすい解説

船舶衝突
せんぱくしょうとつ

船舶間の衝突。単独海損の一場合をいう。船長は、船舶が衝突したときは、自船に急迫した危険がない限り、互いに人命および船舶の救助に必要な手段を尽くし、かつ船舶の名称、所有者、船籍港および到達港を告げ、また衝突について行政官庁に報告しなければならない(船員法13条・19条)。衝突による損害賠償関係は、不法行為の一般原則によるほか、商法および「船舶衝突ニ付テノ規定ノ統一ニ関スル条約」(1914)に特別な規定がある。衝突した両船に過失がないときは、各船が受けた損害をそれぞれ負担する。両船に過失があるときは、各船は過失の軽重により損害を負担するが、両船の過失の軽重を定めることができないときは、両船で損害を平等に負担する。船舶衝突を防止するため海上衝突予防法がある。

[新谷文雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「船舶衝突」の意味・わかりやすい解説

船舶衝突
せんぱくしょうとつ

船舶と船舶とが水上において接触し損害を生じること。国際法上で船舶の衝突が特に問題となるのは,異なる国籍をもつ船舶の衝突の場合の管轄権と損害賠償義務の問題である。1952年,ベルギーブリュッセルで船舶の衝突についての刑事裁判管轄権に関する国際条約など 3件の条約が成立した。日本の商法では,商法の適用または準用される船舶相互間の衝突のみをいう(商法684条1項,船舶法35)。したがって,航海船櫓櫂船との衝突,内水船相互間の衝突には商法の適用の余地がなく,ただ,航海船と内水航行船との衝突につき商法の類推適用の余地があるにすぎないと解されている。船舶衝突における損害賠償関係については商法に特別の規定(797条)が設けられているが,それ以外は民法不法行為に関する規定(709条以下)が適用される。しかし渉外関係には,いわゆる船舶衝突条約が適用される。(→海損

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