良性発作性頭位めまい症(読み)りょうせいほっさせいとういめまいしょうりょうせいとういめまい(その他表記)Benign Paroxysmal Positional Vertigo

家庭医学館 「良性発作性頭位めまい症」の解説

りょうせいほっさせいとういめまいしょうりょうせいとういめまい【良性発作性頭位めまい症(良性頭位めまい) Benign Paroxysmal Positional Vertigo】

[どんな病気か]
 頭を動かし、ある特定の位置にもってくると生じるめまいです。たとえば座った姿勢から横になったり、あおむけから寝返りをうったりしたときにおこります。
 耳鳴みみな)り、難聴(なんちょう)、ことばの障害、手足のしびれ、意識障害がおこることも、生命にかかわることもありません。
[症状]
 ぐるぐるめまいのことが多いのですが、ふらふらめまいのこともあり、めまいが激しいときは、吐(は)き気(け)、嘔吐(おうと)などをともないます。
 頭をある特定の位置にもってくると必ずめまいがおこり、数秒から長くても1分以内に治まるのが特徴です。
 ぐるぐるめまいに驚いて、元の姿勢にもどすと、今度は反対方向にぐるぐるめまいがおこることもあります。
 同じ動作をくり返しているうちにめまいが軽くなってきて、ついには、めまいがおこらなくなることもありますが、しばらくして動かすと、まためまいがおこるといった場合もあります。
 たいていは、徐々にめまいが軽くなり、後遺症(こういしょう)を残さずに治ります。
[原因]
 頭を強く打った後、長期間ベッドで寝ていた後、中耳炎(ちゅうじえん)などの耳の病気の後におこることが多く、内耳(ないじ)になんらかの障害があるためにおこるのではないかと考えられています。
 内耳の中にある耳石器(じせきき)や三半規管(さんはんきかん)が傷害されるためという説、内耳の中で浮遊物(ふゆうぶつ)(小さい石のようなもの)が移動するためという説がありますが、ほんとうの原因はまだわかっていません。
[検査と診断]
 ある特定の位置に頭をもってくるとめまいがおこる病気には悪性頭位(あくせいとうい)めまい(コラム「中枢性頭位めまい(悪性頭位めまい)」)という生命にかかわる病気もあり、区別するため、頭の位置をいろいろ変えながら検査をします(平衡機能検査(へいこうきのうけんさ))。
[治療]
 耳鼻科(じびか)を受診し、確実な診断を受けてください。特別な治療はありませんが、吐き気止め、抗めまい薬、循環改善薬(じゅんかんかいぜんやく)、ビタミン剤などを注射か内服で使うと楽になります。安静を保つよりも積極的に動いて慣れることがたいせつです。
 最近では、頭を曲げながら、寝たり起きたりして、内耳中を移動している可能性のある浮遊物を取り除くめまい体操を採用している病院もあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

知恵蔵mini 「良性発作性頭位めまい症」の解説

良性発作性頭位めまい症

寝返りをうったり起き上がったりして急に頭の向きを変えた時に回転性のめまいを起こす病気。激しいめまいにより吐き気や嘔吐をともなう場合はあるが、他に目立つ症状はなく、命に関わる病気ではない。原因としては、内耳にある三半規管の中に細胞たんぱく質などの粒子がたまり、それが三半規管のリンパ液の流れを乱すことで発症するとする説が有力である。治療には循環改善薬や抗めまい薬などの投与による薬物療法、頭を動かして三半規管にたまった粒子を排出する頭位変換療法が用いられる。

(2012-12-19)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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